PR

 LSIの回路ライブラリの標準化を巡り,日米ASICメーカとEDAベンダの米Synopsys, Inc.が小競り合いを繰り広げている。回路ライブラリが標準化されれば,複数のツールで一つの回路ライブラリを使いまわしできる。顧客の要求があるたびに,特定のツール向けの回路ライブラリを用意しなければならないASICメーカには朗報である。

 また,一般に,回路ライブラリには,遅延時間の計算手法が組み込まれている。LSIの開発には複数のツールを使うため,遅延時間の計算方法は統一されている方が望ましい。特に,遅延時間に敏感なディープ・サブミクロンLSIでは,計算方法の統一は欠かせないと言われている。

 これまでにEDA業界では,非営利団体を中心にした回路ライブラリの標準化は何度か試みられたが,成功していない。各社の利害が絡み,作業が遅々として進まないからだ。その間隙をついて,Synopsys社の「Liberty」という形式がじわじわと勢力を広げてきた。Libertyは,SSI/MSI クラスのマクロセル用の「.lib」とIPコアなどブロック用の「STAMP」からなる。

危機感抱き,ASICメーカ連合が自ら標準作り

 しかし,ASICメーカはLibertyの勢力拡大を危惧した。標準形式が特定のEDAベンダの手中にあるためだ。そこで,「1997年の秋にASIC メーカの有志がSynopsys社にLibertyの管理を第3者機関に移すように申し入れたが,拒否された」(NECシステムLSI事業本部システム ASIC事業部 プロジェクト統括マネージャー 吉沢仁氏)。このため,ASICメーカは独自に回路ライブラリの標準化を進めることになった。

 ASICメーカ側の標準化組織は,米Si2社(Silicon Integration Initiative, Inc.:設計環境の整備促進を支援する米国の非営利法人)に参画するASICメーカ8社からなるフォーラム「ASIC Council」である。 ASIC Counsilは,米国の半導体メーカ6社,日本のNEC,そしてSTMicroelectronics社の合計8社からなる。標準化のプロジェクト名は「OLA( Open Library API)」(ホームページ)である。1年以上の活動の末,1998年12月に「OLA1.0」の発表に漕ぎ着けた。