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 米Cadence Design Systems, Inc.は,LSI回路ライブラリの物理データ形式「LEF」のAPIを,回路ライブラリの標準化を進める「OLA( Open Library API)」に提供すると発表した(リリース文)。OLA(ホームページ)は,米Si2社(Silicon Integration Initiative, Inc.:設計環境の整備促進を支援する米国の非営利法人)が推進するLSI回路ライブラリの標準化プロジェクトである。OLAは現在,回路ライブラリの機能およびタイミング・データの形式をまとめている(関連記事)。今回のCadence社の申し入れにより,物理データ形式もカバーできるようになる。

回路ライブラリを巡る小競り合いは続く

 ただし,これで回路ライブラリの標準化がすんなりと進むわけではない。OLAは,今のところマイナーな勢力に過ぎないからだ。OLAは,米Synopsys, Inc.が開発した回路ライブラリの機能およびタイミング・データ形式「Liberty」に対抗するために始まった。Libertyはすでにかなり普及しており,特定1社の独自形式が業界標準になっていることに危機感を抱くASICメーカがOLAを立ち上げた。

 一方,物理データ形式ではCadence社のLEFが事実上の業界標準になっている。こちらでは,Synopsys社などが組織するOPEF ( Open Physical Exchange Format )が対抗勢力である。OPEFは,特定の1社の形式が業界標準では好ましくないとして,第3者機関のOPEFにLEFの管理を任せるようCadence社に要請している(関連記事)。それに対するCadence社の回答が,今回の発表とみてよい。OPEFは,LEFそのものをOPEFに移管するよう求めているが,Cadence社はAPIを提供することで,LEF本体のコントロールは自社に留める考えだ。回路ライブラリ形式周りの小競り合いはまだまだ続きそうである。

 今回,Cadence社は,1999年4月からLEFのAPIとDEFのAPIのライセンス供与を始めることも発表した。同時に,これらのAPIの利用を支援する設計サービスにも乗り出す。