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 米Sony Music Entertainment社は,米Microsoft社と共同で,インターネットを利用した音楽コンテンツのオンライン配信を1999年夏にも始める。 SME社は,今夏に製品化されるMicrosoft社の音楽配信向けソフトウエア「Windows Media Technologies 4.0」を利用して音楽コンテンツを販売する。ストリーミング技術を使った音楽ビデオや楽曲のリアルタイム放送と,音楽コンテンツのダウンロードの両方で Microsoft社の技術を使う。「今回の提携は排他的なものではない」(SME社,Senior Vice President and General Manager,New Technology and Business DevelopmentのFred Ehrlich氏)。米IBM社やソニーなどと共同で進めている計画に関しても,並行して進行させるようだ。

 SMEは,現在レコード店で販売しているシングルCDのコンテンツをオンラインで有料ダウンロードできるようにする。海外からの購入も受け付ける。ただし,販売する曲数などの詳細は明らかにしていない。コンテンツは北米で販売されているものに限るもよう。「インターネットは,プロモーション・ツールとして信じられないほど魅力的だ。より多くのファンが,インターネット経由で好きな音楽コンテンツにアクセスできるようになるだろう。今回の提携はこれに向けた第1歩となる」(Ehrlich氏)。

シングル販売の実験場

 ここにきて,米国のレコード大手は音楽配信に向けた動きを速めている。5月に入って,米Universal Music Group社が,米InterTrust社の技術を利用して,音楽配信実験を1999年末に開始する見込みであることを発表したばかりである。

 SMEは今回の音楽配信を,米IBM社やほかの大手レコード会社と共同で始める「マディソン計画」を補完する実験場と位置付けているようだ。マディソン計画では,通信速度が速いケーブル・モデムを利用して,主にアルバム単位で音楽コンテンツを売る。これに対して今夏に始めるコンテンツ販売は,普通の通信モデムを利用した低速の通信環境で実施する。近い将来の本格的な参入をにらんで,マディソン計画では把握しにくい,一般消費者のニーズを把握することが目的とみられる。

本当に始められるのか

 SME社が今夏にコンテンツ販売を本当に始められるかどうかは疑問が残る。SME社とMicrosoft社は,著作権管理技術の標準化を進める業界団体「SDMI」が著作権管理技術のガイドラインを1999年6月に発表することを前提に計画を立てているからだ。Microsoft社は, Windows Media Technologies 4.0の最終版をこのガイドラインに対応させるとしている。

 ただし,SDMIがガイドラインを6月までに決定できるとみる業界関係者は少ない。「まだ始まったばかりで,4月の段階では何を決めるのかすらも決まっていない」(SDMIに参加する関係者)というのが現状のようだ。遅れそうなSDMIの決定を待つのか,それとも今夏に見切り発車するのか--SMEを始めとする大手レコード会社の今後の動向に注目が集まる。