オランダRoyal Philips Electonics社や,米国メディア業界にソニーが続く。ソニーの米国法人Sony Corp. of America(SCA)は,ハード・ディスク装置(HDD)録画装置を開発する米国のベンチャー企業TiVo Inc.との提携を決めた。提携内容は大きく二つ。1)TiVoの技術をソニー製品に組み込むことと,2)TiVoへの資本参加である。
1)に関してSCAは,録画機能だけでなく,ゲーム・ソフトや音楽コンテンツの配信サービスなども視野に入れているもよう。ただし,「ソニー・グループが保有するコンテンツ群をどのように使うかは,まだ具体的には決まっていないようだ」(ソニー広報室)。まずは,「Sony」ブランドで録画装置単体を売り出すことになりそうだ。「いつ製品を出荷するかは決まっていないが,これからのことなので,2000年半ばころになるのではないか」(同広報室)。すでにソニーは日本国内で発売しているデスクトップ・パソコン「VAIO」に独自のHDD録画機能を搭載している。まだ具体的には決まっていないようだが,今後はパソコン分野でTiVo社のサービスや技術を取り入れた製品が登場する可能性もありそうだ。このほかにも,同社が力を入れているケーブル・テレビやディジタル衛星放送用のセットトップ・ボックスなどへの組み込みが考えられる。なお,TiVo社の機能を組み込んだ録画装置はすでにPhilips社が米国で店頭販売している。
2)に関しては,出資額は2750万米ドル。7.5%の株を保有する。出資するだけでなく,ボード・メンバも送りこむ意向だ。
ここにきて,HDD録画装置に対する米国大手メディアの関心は高まる一方(関連記事1,関連記事2,関連記事3,関連記事4,関連記事5,関連記事6)。1999年7月末にTiVo社はNBCや,Disney社,Showtime社,Liberty Media社などのメディア大手からも多額の出資を受けた。8月にはTiVo社のライバルである米ReplayNetworks社が,同様にNBCなど,放送・メディア業界大手から総額5700万米ドルの出資を受けた。
加えて,日本の家電大手では,松下電器産業がReplay Networks社と提携している。Replay社 vs TiVo社=松下 vs ソニー・Philips社。HDD録画装置を中心に,またまた家庭用録画装置の次世代業界標準を巡る熱い戦いが始まる。