PR

 セガ・エンタープライゼスの次世代ゲーム機「Dreamcast」が1999年9月9日に米国デビューした。価格は予定通り199米ドル。カリフォルニア州サンノゼ市や,ネバダ州ラスベガス市,ジョージア州アトランタ市などで販売開始イベントを実施した。

 米国法人Sega of America社によれば,発売前の予約数はすでに30万台に達し,ソニー・コンピュータエンターテインメント(SCE)が「PlayStation」を発売したときの予約数10万台を大きく超えたという。「年内には100万台の出荷を見込む」と鼻息は荒い。実際,いまのところ店頭での販売状況も順調なようだ。シリコンバレー周辺では「売り切れ」の札を掲げる小売店も少なくない。「売れ行きはいいよ。もう残りはここにある2台しかない。次に入荷するのは来週になっちゃうよ。なにしろ,すごい勢いで売れてるんだ」(シリコンバレーにある大手家電量販店の販売担当者)。

 ただし,もちろんSCEや任天堂が黙って手をこまねいているわけではない。両社はPlayStationとNintendo64の価格をそれぞれ99米ドルに値下げするなど,米国で「Dreamcast包囲網」を敷いている。日本で数百万本を販売したPlayStation用ゲーム・ソフト「Final Fantasy VIII」の米国発売もDreamcastの発売日に重ねた。そして,日本時間の来週月曜日(1999年9月13日)には,SCEが満を持して次世代プレイステーションを正式発表する見込みである。こうした一連の出来事は,Dreamcastの今後の販売動向に微妙な影響を与えそうだ。

 出足は好調。目玉の一つであるインターネット・サービスでは米国最大の通信事業者であるAT&T社と提携した。しかし,その先にはライバルの包囲網がセガを待ち受けている。敵は他社だけではない。魅力的なゲーム・ソフト,安定した製品供給…。ライバルの包囲網を突破し,年内に目標の100万台を出荷する。これを実現するためにセガが超えなければならないハードルは少なくなさそうだ。

「Dreamcast」販売に備えて展示の準備をする米国サンフランシスコ市の小売店の店員。18タイトルのゲーム・ソフトといっしょにDreamcastは船出した。(写真:Business Wire提供)
「Dreamcast」販売に備えて展示の準備をする米国サンフランシスコ市の小売店の店員。18タイトルのゲーム・ソフトといっしょにDreamcastは船出した。(写真:Business Wire提供)
[画像のクリックで拡大表示]