PR

 九州電力と東北電力,中部電力,関西電力,東京アールアンドデーは共同で,電気2重層コンデンサと鉛蓄電池を併用する電気自動車用駆動システムを開発した。実際に,この駆動システムを市販の電気自動車「ダイハツ・ハイゼット バン EV」に搭載し走行実験を行なったところ,鉛蓄電池だけで構成する駆動システムに比べて,一充電走行距離が3%増えて115km(10-15モード)に達したという。

 さらに鉛蓄電池の充放電サイクル寿命を延ばすことにも成功した。鉛蓄電池だけを搭載する駆動システムでは,充放電サイクル寿命は450回程度(約1年に相当)と短い。この原因は,大きな電力による充電/放電を繰り返す結果,鉛蓄電池が早く劣化するためである。そこで今回開発した駆動システムでは,こうした大きな電力による充電/放電を電気2重層コンデンサに任せる。鉛蓄電池は,一定電力の充電/放電に特化させる。こうして充放電サイクル寿命を従来の約1.5倍である約700回に延ばした。

電気回路的な工夫を三つ盛り込む

 ただし従来から,一充電走行距離と電池の寿命を延ばすことを目的に,電池と電気2重層コンデンサを組み合わす駆動システムの開発は行なわれてきた。考え方自体は,以前からあったものだ。ところが単純に組み合わせただけでは,効果が得られない。電気スクータを使った実験では,一充電走行距離が鉛蓄電池だけのシステムに比べて約15%短くなってしまったという。この原因は,鉛蓄電池と電気2重層コンデンサの充放電を制御する電力制御装置などでの電力損失が大きいことにある。

 そこで今回は三つの電気回路的な工夫を盛り込んだ。

 一つは,鉛蓄電池と電力制御装置を直列に接続したことである。こうすることで電気2重層コンデンサに送る電力を,鉛蓄電池と電力制御装置で分担できるため,電力制御装置での損失を抑えることができる。

 二つ目は,電力制御装置を小型のユニットに分割し,それぞれを並列に接続して構成したことである。今回は五つのユニットに分割した。電力制御装置で扱う電力が少ない場合は,不要なユニットを切り離す。こうして接続するユニットの数を調節することで,いかなる負荷状況でも高い変換効率で運転できるようにした。

 三つ目は,直列に接続した複数の電気2重層コンデンサの端子電圧を一定に保つ電圧監視回路を,鉛蓄電池を充電するときだけ電気2重層コンデンサに接続するようにしたことである。こうして通常動作時に,電圧監視回路が鉛蓄電池の負荷となって,電力を消費してしまう現象を防いだ。

技術供与を視野に

 今回使用した鉛蓄電池は容量が60Ahで端子電圧が12Vのモジュールである。これを20個,2並列10直列になるように接続した。電気2重層コンデンサは1800Fで端子電圧が2.3Vのセルを採用。これを128個直列に接続した。

 九州電力では,自動車メーカからの要求があれば有償で技術供与する考え。