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 三洋電機,日立製作所,富士通の3社は,携帯電話機やPHSの回線を使った音楽配信を実現する技術規格を共同で策定した(三洋電機のリリース文日立製作所のリリース文富士通のリリース文)。音楽配信システムの名称は「ケータイdeミュージック」である。ダウンロードした音楽コンテンツを携帯電話機で再生したり,音楽コンテンツを別の携帯電話機に送ることなどが可能になる。規格をまとめた3社は,通信事業者やレコード会社などにこの音楽配信システムの採用を働きかけている。

 この音楽配信システムの要は小型メモリ・カード対応の携帯電話機である。音楽配信サーバ上にある暗号化した音楽コンテンツを携帯電話機の回線を経由して小型メモリ・カードにダウンロードする。暗号化した音楽コンテンツは,街角の音楽自販機やCD-ROMなどを経由して入手することも可能にする。ユーザが音楽を再生する時は,再生用ライセンス鍵を携帯電話機の回線を経由して入手する。この時に通信事業者が音楽コンテンツに対する課金をおこなう。暗号化した音楽コンテンツと再生用ライセンス鍵を,独立に流通させることで,暗号化した音楽コンテンツの合法的なコピーが可能になる。

 記者発表会では,スピーカと接続したPHSを使って音楽コンテンツを再生して見せた(写真)。小型メモリ・カードから音楽データを読み出すデータ転送速度は64kバイト/秒。音楽コンテンツの圧縮方式はMP3を利用した。ただし,今回の音楽配信システムはコンテンツの圧縮方式までは規定していない。

 音楽コンテンツの著作権を保護するため,記録媒体として著作権保護機能付き小型メモリ・カード「Secure MultiMediaCard」を新たに開発した(関連記事)。従来の小型メモリ・カード「MultiMediaCard」に,データの暗号符号化/復号化回路などを追加した。音楽の著作権保護技術を検討する団体 SDMIの要求仕様にも準拠する。このほか,端子数が6ピン増えて合計13ピンになった。8ビットの並列転送により,20Mバイト/秒でデータの書き込みが可能になる。音楽自販機などを利用すれば,たとえば約60Mバイトの音楽コンテンツ(再生時間は約1時間程度)を,3秒程度でダウンロードできる。なお,既存の「MultiMediaCard」と形状はまったく同じ。

 現時点では,具体的な製品化時期およびサービス開始時期は未定とした。しかし「2000年中には,小型メモリ・カード付きの携帯電話機が登場する」(三洋電機)もようだ。