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 DVD-Videoの著作権保護技術であるCSS(content scrambling system)を不正に回避して映像データをハード・ディスク装置などにコピーするソフトウエアがWWWサーバなどを通じて配布された問題が大きな話題になっている(関連記事1関連記事2関連記事3関連記事4)。しかし実はその陰で,もう一つの「CSS破り」が進行している。DVD-ROM装置のファームウエアの改変によって,地域コード(Regional Code)による再生制限「RPC」(regional playback control)を骨抜きにするツールの登場である。

 現在,出荷されているDVD-ROM装置は,地域コードへの対応という点では大きく2種類に分けられる。RPCのフェーズ1(RPC-1)対応品とフェーズ2(RPC-2)対応品である。

 RPC-1対応品は,装置側では地域コードによる再生制限処理を行なわず,映像や音声の復号化器側(パソコンの場合は主にDVD再生アプリケーション・ソフトウエア)で制限する。DVD再生アプリケーション・ソフトウエアは,地域コードの変更を5回に限って許可しているものが多い。しかし,DVD再生アプリケーション・ソフトウエアの設定部分を書き換えてしまえば(たとえばハード・ディスク装置をフォーマットしてOSやアプリケーションを再インストールする,ハッカーが開発した地域コードの無制限の書き換えを実現するソフトウエア・ツールを使うなど),事実上,何回でも地域コードを変えることができる。初期のDVD-ROM装置に限って認められた方式である。

 これに対してRPC-2対応のDVD-ROM装置では,DVD-ROM装置側にも仕組みを用意することで,地域コードの設定は不可能,もしくは5回を上限として地域コード設定を変えられるもののその回数を超えると,一切書きかえることができないようにする。当初は,1998年12月31 日以降に出荷するDVD-ROM装置は,すべてこのRPC-2に対応する必要があったが(日経エレクトロニクス誌1997年8月18日号の「DVD,パソコンに載る---ソフトウエア復号化でコスト抑制にメド」を参照),その期限が1999年12月31日に延長されていた。つまり,2000年1月1日以降に出荷されるDVD-ROM装置は,すべてこのRPC-2対応品となる。

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