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 東芝と図研が,IPコア事業で新しい1歩をそれぞれ踏み出した。まずその第1弾として,次世代移動体通信システム(IMT-2000)向け携帯型テレビ電話機の開発で協力する。

両社から製品と技術をもちより,マルチメディア通信制御プロトコル「3G-324M」準拠のテレビ電話機能の開発キット「M4TV評価キット」(図1)を提供する。

このキットは,通信機能をもつIMT-2000向け携帯型電話機を開発する力を持っているが,動画や音声処理技術に関しては外部から取り入れたい電話機メーカをターゲットにしている。

携帯電話機メーカは,自社開発したベースバンド処理回路と,このキットを組み合わせると,IMT-2000対応の携帯型テレビ電話機の機能を実現することができる。

 同キットには,MPEG4ビデオ符号化/復号化LSI(以下,MPEG4コーデックLSI)と液晶パネル・コントローラLSIや,H.223準拠の音声と映像の多重分離LSIなどが含まれる(図2)。このうち,MPEG4コーデックLSIは東芝が開発・製造する。あとの二つは東芝が開発し,そのライセンスを図研に供与,図研が市販のCPLD(米Altera Corp.製)に実装した。

今回のキットは,物理的には5種類のボードに分かれている(図3)。 (1)MPEG4コーデックLSIと,液晶パネル・コントローラLSIを搭載した 「Video Boad」,(2)AMR方式に準拠の音声符号化/復号化用DSPと,多重化分離LSIを搭載した「Base Boad」,(3)MPEG4の符号化/復号化を制御するマイクロコントローラを搭載した「Control Boad」,(4)CMOS型固体撮像素子や液晶パネル,マイク,スピーカなどを搭載した「UI Boad」,(5)回線をエミュレートする「回線モデル・ボード」である。同キットの出荷は2000年3月。

将来はMPEG4コーデックLSIも,IPコアとして外部へ供給

東芝は,社内の機器部門が開発した回路をIPコアとして外販するために,本社直轄の組織として「コーポレート事業開発センター 戦略IPプロジェクト」 を設けている。これまでに,グループ内の企業にいくつかのIPコアを提供してきたが,今回グループ外の企業としては初めて図研にIPコアを提供した。

上述した二つのCPLDに実装されたIPコアがそれである。今回のMPEG4コーデックLSIも,IPコアとしてグループ外にも供給できるように社内で調整を進めているという。ゆくゆくは東芝のIPコアが,NECや富士通といった競合の半導体メーカで製造されるチップに実装されるわけである。

自社開発IPコアの販売をねらう

図研は主力のプリント回路基板用EDAシステム以外に,いくつかの新規事業を手がけている。今回東芝と協力したのは,システムLSIの設計支援などを行なうSoC事業部。図研は,上述した二つのIPコアのサブライセンス権と改変権を得ている。すなわち,顧客のベースバンド処理部にあわせて回路を変更できる。また,実装するチップには契約上は制約がない。すなわち,米Altera Corp.のCPLDの代わりに米Xilinx,Inc.のFPGAに実装したり,東芝も含めた半導体メーカのASIC(マスクプログラム方式LSI)の1ブロックとして使うことができる。こうしたことで実績をつみ,ゆくゆくは自社開発のIPコアを販売する計画である。