米Equator Technologies,Inc.は,同社のメディア・プロセサ「MAP1000」のうえで,すべてのディジタル・テレビ信号処理をソフトウエアで実現するための企業コンソーシアム「SofTV」を設立した。Western Show会場近くのホテルに同社が用意したスイートで,John Stel O'Donnell社長に背景やねらいを聞いた。
―なぜSofTVを設立したのか。
O'Donnell氏 当社のメディア・プロセサ「MAP1000」を使えば,あらゆるディジタル・テレビ信号処理をソフトウエアで実現できる。他社が専用回路で実現しているMPEG2コーデック(符号化/復号化)もソフトウエア処理でまかなえる。さらにHDTV品質(MP@HL)のMPEG2復号化や2本のMPEGストリームの同時再生も可能だ。このほか,ATVフォーマットの変換やプログレッシブ変換表示などの走査線数変換は,まだまだ改良の余地がある。こうした場合にはソフトウエア処理がうってつけだ。
―主な構成企業とその役割分担は。
O'Donnell氏 まずはMAP1000の共同開発社の日立製作所。MPEG4ビデオ・コーデックやフォーマット変換などの信号処理ソフトを開発する。そしてストリーミング再生ソフトの米Real Networks,Inc.,組み込みOSの米Wind River Systems,Inc.,テレビ会議システムの米Zydacron,Inc.といった大手が参加している。
―米Microsoft Corp.の「Micorsoft TV Platform」に対抗するものか。
O'Donnell氏 1歩先をいくものだ。それにMicorsoft TV Platformではたった一つのOS(WindowsCE)しか選べないが,SofTVではOSに依存しないオープンなプラットフォームを目指す。
―全ソフトウエア処理は今後の機器設で主流になるのか。
O'Donnell氏 1990年代初頭にモデムの世界で起こったことを思い出してほしい。圧倒的なシェアをもっていたHayes社がハードウエア処理から脱皮できず,どうなったか。 DSPベースのソフトウエア処理を打ち出したメーカに取って替わられた。同じことがディジタル・テレビの世界でも起こるだろう。(聞き手=加藤 雅浩)