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 今年6月に開催された36th Design Automation Conferenceで大きな話題を集めた,新興自動レイアウト・ツール・ベンダ(EDA Online関連記事1)。

 その1社である,米Monterey Design Systems Inc. (EDA Online関連記事2)のChairman and FounderのJames S. Koford氏に,同社の強みや,最近発表した一連の提携(EDA Online関連記事3)について聞いた。

 同氏は,国内総代理店「ソリトンシステムズ」(EDA Online関連記事4)主催の「Monterey Design Systemsセミナ」出席のために来日した。(聞き手と写真は小島郁太郎)

 最近,立て続けに,パラメータ抽出ツール・ベンダと提携している(EDA Online関連記事3)。Monterey社の自動レイアウト・ツール「Dolphin」のパラメータ抽出機能を,サード・パーティのツールで置き換えることをねらっているのか。

Koford氏 それは違う。Dolphinのパラメータ抽出機能は,Dolphin内部で使うように調整している。たとえば,最適化処理を何度も繰り返して実行できるように,高速抽出が可能といった特徴がある。今のところ,サード・パーティのパラメータ抽出ツールをDolphinに組み入れて使うことは考えていない。

 それではなぜ,提携したのか。

Koford氏 顧客から,Dolphinの出力結果であるマスク・レイアウトを検証するときに,サード・パーティのパラメータ抽出ツールを使いたいという要請でている。それをスムーズに行なえるようにするのが,今回の一連の提携の目的だ。

 Dolphinの出力結果に問題があるということか。

Koford氏 そうではない。Dolphinは質の高い結果を出す。もちろん,チップを製造すれば問題なく動作する。しかし,最近はマスク代が高額になっており,マスク製造前にマスク・レイアウトを念入りにチェックしたいという要望は強い。チェックを複数回にすることで,漏れをなくす。一種の保険のようなものだ。

 Monterey社と米Magma Design Automation, Inc.は,市場への製品投入時期が近く,比較されることも多い。Magma社は,タイミングに焦点を当て,ねらいがはっきりしている。Monterey社のねらいはどこか。

Koford氏 他社の製品については詳細がわからないが,タイミングを最適化しただけでは,高品質のチップは設計できないことは火を見るより明らかだ。Monterey社は,タイミングだけではなく,あらゆる観点から設計をチェックする。すなわち,タイミング,消費電力,クロストーク雑音,チップ面積,アスペクト・レシオ,クロック・トリー,配線混雑度などなどだ。

こうした複数の観点からのチェックが重要なのは,人手設計と自動設計の違いを考えれば,明らかだ。熟練設計者がコンピュータより最適な結果を出せるのは,いろいろな観点を同時に考えて最適化しているからだ。自動化(automation)だけでは意味がない。最適化(optimization)をしなければ,高品質のチップは設計できない。

 Dolphinでは,熟練設計者並みの最適化が可能なのか。

Koford氏 その通りだ。当社のツールは基本的な発想が,これまでのツールとは異なる。これまでのツールが繰り返し(iteration)処理をして最適化しているのに対して,Dolphinは最適解を探している(exploration)のだ。Dolphinは設計データの抽象度が下がるたびに(よりマスク・レイアウトに近づくたびに),先ほど述べた多数の観点で候補を評価し,最適な設計を選び出す。他社ツールにありがちな,かなり先の結果を予測して処理する手法とは異なり,1歩1歩進むたびに最適な設計を選んでいく。熟練設計者の手法と同じというのは,こういう意味である。