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汚濁水の浄化にも対応する中空糸UF膜モジュール
汚濁水の浄化にも対応する中空糸UF膜モジュール
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 東レは,高度な製膜技術とナノテクの融合により,従来の約1/2のろ過圧力で運転できるポリフッ化ビニリデン(PVDF)製中空糸限外ろ過(UF)膜モジュールを開発した。分画分子量は15万。PVDFを素材にした中空糸膜としては,穴の大きさが「世界最小」(同社)という。さらに,膜の目詰まり(ファウリング)を抑えているため,凝集剤や洗浄用薬品の使用量を削減でき,エネルギ消費量やランニングコストを抑えられる。同社は今後,このモジュールを,飲料水や産業用水の製造,海水淡水化の前処理,下水再利用の前処理などの用途に展開する計画だ。

 これまで同社は,高重合度ポリアクリロニトリル(PAN)を素材とするUF膜モジュールや,より大規模な浄水設備に適用できるPVDF素材のMF膜,濁質や有機物を含む河川の水源近くや上流付近の「通常表流水」向けに目詰まりしにくい精密ろ過(MF)膜を製造・販売していた。PAN製のUF膜は,汚れにくさと機械的強度を両立させたのが特徴。一方のMF膜は,高い透水性と機械的・化学的耐久性を持つ。

 しかし,河川の下流や河口付近,湖沼・ダム水など濁質や有機物が多い「汚濁表流水」の場合は,膜の目詰まりによって処理量が減ってしまう。このため,薬液で洗浄して有機物などを除去する頻度が増える,といった課題があった。これまで開発した2種類のMF膜でも汚濁表流水には十分に対応できなかった。

 そこで東レは,同社が持つ製膜技術とナノテクを融合させた「ナノ相分離製膜技術」を適用し,今回,比較的汚れの多い表流水の処理向けにPVDF中空糸UF膜を開発した。このUF膜は2層から成る。そのうちの1層では,「熱誘起相分離法」を製膜基本原理として,それに結晶化技術を組み合わせることで,高透水性と高強度を両立。もう一方の層は,微細で平滑な構造で,汚れ物質が膜の内部へ入り込むのを防ぎ,物理的な洗浄によって簡単に汚れ物質を膜表面からはく離できる。これら複合中空糸膜技術により,PVDF製では世界最小の穴の大きさを実現できたという。

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