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 米Cadence Design Systems, Inc.は,同社の自動レイアウト・ツール(旧Silicon Ensemble)を拡張し,シグナル・インテグリティと信頼性を加味して処理する「Envisia place-and-route with signal and design integrity」を発売した(リリース文)。

 LSI内のシグナル・インテグリティと信頼性(エレクトロマイグレーションなど)を解析するツールは,最近,市場に出回るようになった。これらの解析ツールは,レイアウト設計後に使うのが一般的である。しかし,解析-再設計のループが収束しない場合も発生する。そこで,今回,Cadence社は,自動レイアウト・ツール内に解析機能と設計変更機能を組み込んだ。解析-再設計のループがツール内部で自動処理されるため,見かけ上は1回で収束することになる。

 今回の製品は,シグナル・インテグリティの問題として信号配線間のクロストーク雑音,電源配線のIRドロップ,信頼性としてエレクトロマイグレーション,ホットエレクトロン効果,ワイヤ・セルフ・ヒートを扱う。レイアウト処理の途中段階で,配線パラメータを抽出した上でこれらの問題を解析する。問題が見つかると,それを解消するために,バッファの駆動能力を上げたり,新規にバッファを追加したり,配線幅を調整するなどの対策を自動的に打つ。ユーザが対策について,あらかじめ指示することができる。

 回路ライブラリ・ベンダの米Artisan Components,Inc.と米Nurlogic Design Inc.が,今回のツール用ライブラリを台湾TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co. Ltd.の半導体プロセス向けに用意するという。Envisia place-and-route with signal and design integrityの国内価格は1億5187万円。即日出荷する。

PKSと基本機構は似るが,役割が異なる

 解析-再設計のループをツール内部に取り込むという基本機構は,Cadence社が今年7月に発表した「Envisia synthesis with PKS(physically knowledgeable synthesis)」(EDA Online関連記事)と同じといえる。しかし,今回の製品と Envisia synthesis with PKSの統合は現在のところないという。役割が異なるからだ。今回の製品の目的が従来に比べて優れたレイアウトを生成することに対して,Envisia synthesis with PKSはレイアウトを考慮することで優れた論理を生成することをねらう。すなわち,今回の製品のユーザはレイアウト設計者,Envisia synthesis with PKSのユーザは論理設計者である。Envisia synthesis with PKSの出力結果を,今回の製品の入力にすることになりそうだ。

 今回のリリース文には,国内外の半導体メーカが,今回の製品を評価するコメントが紹介されている。すなわち,STMicroelectronics社のPhilippe Magarshack氏(design automation and libraries program director at Central R&D),日立製作所のYoshio Okamura氏(department manager, Design Technology Development Dept.),NECのKazu Yamada氏(general manager of the Technology Foundation Division and executive sponsor of the SIRIUS project),Philips Semiconductors社のHilton Kirk氏(manager, Qualified Design Flow, Design Technology Group)がコメントを寄せている。

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