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 マルチメディア移動アクセス推進協議会(MMAC-PC)の無線ホームリンク特別部会は,Wireless1394の研究作業班を二つ新設した。名称は「ネットワーク構成作業班」と「Wireless1394実験作業班」。郵政省の外郭団体である通信・放送機構(TAO)の研究施設に常駐の研究員を置く。 1998年6月に設置した「Wireless1394作業班」と併せ,三つの作業班で,IEEE1394のデータを無線化した際の問題点を研究する。キヤノンや松下電器産業,ソニーなどの技術者が参加している。

 今回の新設には二つのねらいがある。第1に,郵政省が電気通信審議会に諮問中の5GHz帯の周波数割り当てに,Wireless1394のシステムを加わえること。現在,5GHz帯では,5.15GHz~5.25GHzの帯域を巡って,公衆系のATM-LAN,オフィス向けの無線LAN,家庭向けのWireless1394の3グループが争っている。1999年3月に審議会が出す答申では,これら三つのシステムが帯域を分け合うかたちで落ち着く予定だが,そのためには,Wireless1394がほかの二つのシステムに対して干渉を与えないことを証明する必要がある。今回新設した二つの作業班が,実験などを通じて証明を試みる。

 第2のねらいは,Wireless1394のシステムを早期に開発することで,日本発の国際標準にすること。IEEE1394を無線化する場合,現状のIEEE1394のプロトコルを一部変更する必要がある。たとえば,複数の端末を使用している際に,バス・リセットが多発するといった無線通信時特有の問題を避けるためである。Wireless1394については,IEEE1394TA(Trade Association)内にも正式なワーキング・グループはまだ作られていない。1998年6月のWireless1394作業班が発足した時点では,日本がもっとも早い対応をみせていたことになる。ところが,同11月に,欧州のETSI EP BRAN(日本のARIB(電波産業会)に相当する)がWireless1394の検討作業を始め,1999年1月に周波数の割り当ての大枠を決定するなど,急激な追い上げを見せている。具体的な動きを見せていない米国の動向にもよるが,このままでは欧州のシステムが国際標準になる可能性もある。その場合使用する周波数帯が国内とは異なるため(5.725GHz~5.925GHzの200MHz),メーカにとっては,市場ごとに異なる製品を作らなければならなくなる。

 Wireless1394はIEEE1394のパケットを無線でやりとりすることをねらった方式。Wireless1394作業班に参加するメーカは,ディジタル方式のカメラ一体型VTRとテレビ受像機の間や,ディジタル・セットトップ・ボックスとテレビ受像機の間のデータのやりとりなどに使用することを想定している。