PR

 「新しい技術は歓迎したい。ただし,アーティストが作ったコンテンツを違法に使われるのは遺憾だ。どうしたらよいのかと,頭を痛めている」(MAAの発起人の一人)。こうしたアーティストの危機感が,「メディア・アーティスト協会(MAA:Media Artists Association)」発足の原動力である。MAAには坂本龍一氏や冨田勲氏をはじめとする音楽家のほか,CG作家や小説家など各業界のアーティストがメンバとして名を連ねる。

「MP3はヤバイ」

 アーティストが危機感を抱く背景には,ディジタル・コンテンツ,なかでも音楽コンテンツをインターネット経由で流通させる取り組みが盛んになってきたことがある。アーティストは,新しい流通経路を積極的に取り入れようにも,すぐには踏み込めない。新しい流通形態には,著作権の保護や管理の点で不安が残っているからだ。こういった問題に対し,アーティストがみずから知識を蓄え,機器メーカや著作権管理団体に対して意見を発していくことがMAA設立のねらいである。

 MAAが,まず取り上げたのが著作権保護。2月1日の第1回例会では,MP3フォーマットの技術的な内容と,それを使った音楽配信の普及状況について検討した。発起人のなかからは,「アーティストとしても,MP3フォーマットで音質はOKだ。しかし問題は不正コピー。これはヤバイと思った」という声が上がった。

現行の著作権保護にも不満

 さらに,アーティストには現行の著作権処理の枠組みに対する危機感がある。インターネットを利用することで,新しい形態の音楽配信が実現できたとしても,JASRAC(日本音楽著作権協会)の独占的な著作権管理体制が障害になる可能性があるとしている。

 MAAは,6週間に1回程度の割合で定期例会を開催し,1999年後半に意見書を発表する。メディア・アーティスト協会(MAA:Media Artists Associtaion)の名称は,サイバー・アーティスト連合(Cyber Artists Union)やデジタル・アーティスト協会(Digital Artists Association)などの候補から選んだ。

新たな枠組み作りに向けた第一歩

 レコード会社や音楽プロダクションからは,「我々もJASRACとともに著作権保護の取り組みを進めている。アーティストだけの団体となるのではなく,お互いに連携するべきでは」との声が上がる。ただし,本来著作権者の団体であるはずのJASRACが,インターネットという流通経路を前にして,先進的な著作権者の要求に応じられなくなっているのも事実である。MAAが,新たな枠組み作りに向けて第一歩を踏み出した。