米Sun Microsystems,Inc.のConsumer & Embedded部門のPresidentであるMark Toliver氏は,同社の分散処理環境「Jini」への戦略を明らかにした。同社の目標として「今後1年以内に250種類以上のJava対応の搭載機器と,100種類以上のJini対応機器が開発されるだろう」と述べた。同社の新しいライセンス・モデル「SCSL(Sun Community Source License)」では,開発に際してのライセンス料を設定しないことから,機器メーカでの開発が促進されるとの期待に基づいている。
Jiniの適用を進めていく機器分野として,自動車内ネットワーク,ICカード,携帯電話機を含む電話,テレビ受像機,ネットワーク・コンピュータの五つを挙げた。特に,ICカードは今後2年間で市場規模が3倍に膨れ上がると一般に予想されており,期待しているという。
また,1998年11月の米America Online(AOL)社との提携を例に挙げ「インターネット・サービス事業者は,Jiniを使うことで,携帯型情報機器や自動車などパソコン以外の機器にサービスを提供できることになる。AOL社との提携にはそうした背景もあった。今後,日本国内のインターネット・サービス事業者とも,Jiniに関して提携する可能性が高い」と述べた。
機器メーカにとっての,Jini対応機器を製品化するメリットについては,ハード・ディスク装置メーカ大手の米Quantum Corp.を例に挙げ「Quantum社はJiniネットワーク対応のハード・ディスク装置を開発中だ。現在のハード・ディスク装置はパソコンがないと能力を発揮できないが,Jiniネットワークに接続すれば携帯型情報端末やディジタル・スチル・カメラなどの外部記憶装置となり得る。新たなアプリケーションが生まれることになる」と指摘した。
最後に米Microsoft Corp.のプラグ・アンド・プレイ仕様UPnP(Universal Plug and Play)にも触れ,「まだ詳しく調べていないのが実状である。Microsoft社は,パソコンが存在しないネットワークでも,機器同士のピア・ツー・ピア接続ができると述べているようだが,われわれには信じられない。Microsoft社がパソコンなしのビジネス・モデルを立てるとは考えられない」と述べた。