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 太平洋・アジア地域でIPアドレスの割り振りを担当する組織「APNIC(Asia Pacific Network Information Centre)」は2007年8月3日,IPv4アドレスで従来は「Class E」と呼ばれていたアドレス・ブロックを,巨大なLANでのプライベート・アドレス用とする仕様の草案を,インターネットの標準技術を策定するInternet Engineering Task Force(IETF)に提出した(草案)。3~4年後にも未割り当てのIPv4アドレスの在庫が枯渇する見通しの中,本来インターネットに利用すべきグローバルIPアドレスを社内LANに利用している組織に,アドレスの変換を迫るための布石,とも受け取れる。

 Class Eは,240.0.0.0 から 255.255.255.255までの,2億6843万5456個分のIPアドレスに相当するブロック。「240.0.0.0/4」などとも表記する。現時点でIPv4アドレスの在庫は,「/8」という単位で残り46ブロックになっているが,Class Eは/8単位で16個分に相当する。しかしこれまでは「将来の利用に向けた予備用アドレス」として,ユーザーへの割り当ての対象になっていなかった。上述の46ブロックという在庫量にもカウントされていない。

 今回の草案はこのClass Eのブロックを,巨大な社内ネットワークを持つ組織であればプライベート・アドレスとして使えるようにする,というもの。もちろん,この措置によってただちにIPv4アドレスの在庫が増えるわけではない。ただし,従来のプライベート・アドレスでは小さすぎて使えないという理由で,グローバル・アドレスをLANに利用している企業が,この新しいプライベート・アドレスに乗り換えれば,結果としてIPアドレスの在庫が増える可能性がある。

 APNICは2007年秋にも,一度割り当てられたものの,インターネット向けには利用されていないIPv4アドレスを返却させる手続きを決める見通し。「連絡が取れないユーザーからは半ば強制的に回収することも検討されている」(JPNIC)。今回の草案もその布石である可能性がある。

実は「ワケあり物件」

 ただし,Class EのIPアドレスは実は「ワケあり物件」で,たとえプライベート・アドレスでもClass Eの利用には十分な注意が必要だ。「現在のTCP/IPのスタックは,Class Eの利用を想定していないものが多い。なんの修正もせずに使おうとすると,エラーになることもある」(JPNIC)。こうした理由があるため,在庫に組み入れるのは現実的ではないと見送られた経緯がある。もし利用するのであれば,LANにつながるパソコン,LANスイッチ,ルーター,そしてサーバー機にいたるまでのすべてのネットワーク機器で念入りな運用テストを事前に実施する必要がある。

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