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 慶応義塾大学,松下電器産業,三菱電機,日立製作所など1大学11企業は,プラスチック光ファイバ(POF)を使って,IEEE1394のデータを高速に長距離伝送する実証実験に成功した。各社が試作したディジタル家電機器をネットワーク接続し,最大データ伝送速度が400Mビット/秒の際に,最大で 150mの伝送を確認した。家庭内ネットワークにおける動画像の伝送用途などに向ける。各社は,今回の実験結果を踏まえ,POF用のインタフェースを備えたホーム・サーバやディジタル・テレビ受像機などを2000年中に製品化する見通し。

 今回の実証実験は,単なる試作やコンセプトの提示にとどまらず,実現性の高いシステムとすることを目指した。そのため,伝送媒体として,製造コストの低いアクリル系樹脂製のPOFを用いた。アクリル系のPOFは,ガラス製光ファイバやフッ素系樹脂製のPOFに比べ製造コストが低いが,伝送損失が大きく,家庭の部屋間などの長距離を高速で伝送するのは難しいとされていた。

 実験では,GI(Graded Index)型のPOFや,三菱レイヨンが開発した疑似GI型のPOFなどを用いることで伝送損失を低減し,400Mビット/秒の伝送速度を実現したという。GI型の光ファイバは,光の通り道であるコアの屈折率が,光ファイバの外側から内側に向かって2乗分布にしたがい高くなる構造をとる。GI型では,光がファイバを伝播する際,反射によって外部に漏れる光量が減るため,伝送損失を低減できる。

 また,光送受信モジュールにも低コスト化の工夫が施されている。今回の実験には,松下電器産業が開発した光送受信モジュールを使用した。同モジュールは,光源に端面発光型の発光ダイオードを利用している。半導体レーザを使ったモジュールより,部品コストで低くできると期待されている。なお今回は,半導体レーザを光源に使った送受信モジュールでも実験している。

 実証実験は,EIAJ(日本電子機械工業会)が,通商産業省の「住宅分野の情報システム共通基盤整備事業」の平成11年度事業として受託したもの。実証実験に参加したのは,慶応義塾大学,松下電器産業,三菱電機,日立製作所,三洋電機,日本ビクター,セイコーエプソン,ケンウッド,スカイ・シンク・システムなどである。各社らは,2000年4月25日~26日に,慶応義塾大学三田キャンパスにおいて,実証実験の成果発表会を開く予定。