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仕様ごとに機器を開発し分ける

 こうした問題に対応するために,POFの導入が始まり,結果として自動車エレクトロニクス分野に大きな影響を及ぼすことになる。POFの採用をキッカケにインタフェース規格の標準化が進み,クルマの情報化を加速させるからだ。

 現在,クルマに搭載されているカーナビやオーディオ機器などは,各自動車メーカが定めた独自のインタフェース規格に従って開発されている。このため,機器メーカは自動車メーカごとに機器を開発し分ける必要がある。「特に,ソフトウエアの開発にかかる負担が大きい。苦労している」(デンソー)と機器メーカは苦悩をあらわにする。

 各自動車メーカ間でインタフェース規格が統一されていないことに加え,同一メーカ内でも方式が次々と変わってしまう。さらに,伝送するデータ量が増えるにしたがって規約事項が増え,これに対応する機器メーカの負担はますます大きくなっている。

 「現行のカーナビの場合,設計の1割程度を変更すれば,各社の仕様に対応できる。ただし今後,仕様が複雑化してメーカごとに搭載するプロセサを変更する必要が出てきた場合などは,1から設計をやり直さなければならない」(富士通テン)。

POF採用で状況に変化

 こうした状況がPOFの採用をキッカケとして変わりそうだ。自動車メーカや機器メーカなどが,自動車メーカごとにバラバラだったインタフェース規格を標準化しようとする動きが出てきたためである。

 たとえば自動車メーカの間では,「独自のインタフェース規格を使うという時代ではない」(日産自動車),「次世代車種ではデファクト・スタンダードとなったインタフェース規格を採用したい」(マツダ)との考えが主流になりつつある。標準インタフェースの候補としては,IEEE1394を始めとするいくつかの規格が名乗りを挙げている。

コスト削減意識が標準化を呼ぶ

 インタフェース規格の標準化は,コンピュータ業界などでは「常識」になっている。ところが自動車業界は,こうした標準化にほとんど関心を示してこなかった。

 自動車メーカが各社各様のインタフェース規格を開発し,これに基づいて数社の機器メーカが機器を開発,設計する。こうした手法に何ら不都合を感じていなかったためである。ただし,こうした状況はこれ以上長くは続きそうもない。

 自動車業界はいま,国際的な規模での業界再編の波にさらされている。各自動車メーカは生き残りに必死だ。このため従来にも増して,コスト削減の意識が高まっている。できるだけムダな投資はしたくない。「独自であっても何のウリ,何の得にもならないインタフェース規格に目がいった」(ある自動車機器メーカ)。

 既存のインタフェース規格があるのなら,それを使うのが手っ取り早い。こうすることで,自動車メーカはインタフェース規格の開発にコストをかけずに済む。機器メーカからすれば,これまでのように自動車メーカごとに機器を開発し分ける必要はなく,開発負担は低減される。

 独自インタフェース規格という「障壁」が消えることで,これまで参入をためらっていた多くの機器メーカが,機器開発に参加するようになるだろう。機器メーカ間で競争原理が生まれる。自動車メーカからすれば機器購入の選択の幅が広がり,より優れた機器をより安く,手に入れることが可能になる。

    連載の目次
  1. 光が開くクルマ市場(1)
  2. 光が開くクルマ市場(2)
  3. 光が開くクルマ市場(3)
  4. 光が開くクルマ市場(4)