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魅力ある自動車市場へ

 インタフェース規格が標準化されることで,自動車市場はエレクトロニクス・メーカから見て参入が容易で,かつ大きな成長が見込める,魅力的な市場に変ぼうする。

 特に,家庭やオフィスなどで使われている標準インタフェースと同じ規格,もしくは互換性のある規格であれば,なおうれしい。家庭やオフィス向けに開発した機器を,インタフェースに関しては手をかけずに投入できる。家庭やオフィスで使っているカメラ一体型VTRやパソコン,ゲーム機などをそのまま車内に持ち込んで使えるようになる。

自動車市場への製品投入に対する考え方も変わる

 現在,カーナビなど一部の自動車専用機器を除けば,「開発した機器は「まず家庭,オフィスに投入し,それからクルマへ」というのが一般的な考え方で,最初に自動車市場に投入することはない」(ある家電メーカ)。

 たとえば,オーディオ機器は家庭に投入されてから1.5年~2年後にクルマに載ることが多い。クルマ向けにインタフェースなどを手直しする必要があるためだ。こうした状況がインタフェース規格の標準化によって改善され,最新機器をまず自動車市場に投入しようとするメーカが現れるだろう。

ユーザ・ニーズはある

 インタフェース規格の標準化で,クルマにさまざまな機器を投入する場合の障壁は,一気に低くなる。残る問題は,車載情報機器に対するユーザ・ニーズの有無だろう。これに対して自動車メーカや機器メーカは,「家庭やオフィスと同様,クルマに対しても情報化へのユーザ・ニーズは必ずある」とみる。

 その表れが,自動車メーカなどが仕掛け始めているさまざまなサービスだ。1998年から本格的に始まったクルマ向け情報提供サービス,1999年に開始予定の自動料金収受システム(ETC:Electronic Toll Collection System),2001年からのサービス開始を目指すクルマ向けディジタル衛星放送。

 ユーザが求めているものは,こうしたサービスだけではない。たとえば「「車の中でゲームを楽しみたい」とのユーザの声は結構ある」(富士通テン)。エンタテインメント・システムなどを搭載したクルマが登場しても「不思議ではない」(日産自動車)。

 こうした要望に応えるべく,さまざまな情報機器を搭載したコンセプト・カーが続々と登場している。コンセプト・カーは,自動車メーカが描く「未来のクルマ」を具現化したものだ。いま市場にある情報機器や最新技術を満載する。

 たとえば,米Delphi Automotive Systems Corp.や米IBM Corp.などが開発した「Network Vehicle」は,POFを使って構築した情報系,制御系の車内LANを備える。屋根の上に搭載した平面アンテナを通じてディジタル衛星放送を受信でき,「オフィス機能」を使えば,その日のスケジュールをチェックできる。電子メールを音声で聞けくこともできる。インターネットへの接続も可能だ。助手席や後部座席の前には,大型タッチ・パネルも搭載する。

高級車などから順次搭載

 こうしたシステムは,高級車などから順次適用され始めている。やがては大衆車へと展開されていくだろう。

 たとえば, DaimlerCrysler社は米IBM Corp.と共同で開発した「mobile office」を搭載するミニバン「Vクラス」を,1999年第2四半期後半から販売する計画である。後部座席に「business console」と呼ぶユニットを設置する。このユニットには,IBM社のノート・パソコンあらかじめ備え付けてあり,携帯電話機やプリンタなども接続できる。利用者は電子メールの受信/送信,インターネットへの接続,スケジュール管理などを行なえる。音声認識によってパソコンのアプリケーションを作動することもできる。

 車載エンタテインメント・システムを開発,発売するメーカも出てきた。米Ford Motor Co.の社内分社Visteon Automotive Systemsは米Nintendo of America Inc.と共同で,後部座席向けエンタテインメント・システム内蔵コンソール・ボックスを開発した。

 このシステムは,6.4インチ型TFT(thin film transistor)カラー液晶パネル,据置型VTR,家庭用ゲーム機を接続するジャックなどからなる。車内に任天堂の「NINTENDO 64」やソニー・コンピュータエンタテインメントの「プレイステーション」などのゲーム機を持ち込めば,後部座席の同乗者はゲームを楽しめる。Visteonではこのシステムを,まずユーザ・ニーズの高いミニバンに向けて,1999年4月から発売を開始する計画である。

    連載の目次
  1. 光が開くクルマ市場(1)
  2. 光が開くクルマ市場(2)
  3. 光が開くクルマ市場(3)
  4. 光が開くクルマ市場(4)