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図1 発表者で現在米SixPoint Materials,Inc. CEO/CTOの橋本忠朗氏
図1 発表者で現在米SixPoint Materials,Inc. CEO/CTOの橋本忠朗氏
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図2 展示ポスター
図2 展示ポスター
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 米University of California,Santa Barbara校(UCSB)は,アモノサーマル法と呼ばれる手法でGaN結晶を作製し,2007年9月16~21日に米国のラスベガスで開催された「ICNS」で発表した(講演番号:MP112)。アモノサーマル法は,水晶を作製する水熱合成法を応用したもの。そのため理論的には「水晶並みの大きさのGaN結晶を作製できる」(発表者で現在米SixPoint Materials,Inc. CEO/CTOの橋本忠朗氏)という(図1)。今回試作したのは大きさ6~7mm程度だが,「我々のアモノサーマル法でGaN結晶を作製できることを調べたかった。今後はさらに大型化したい」(同氏)と説明する。

 アモノサーマル法では,一般に高温高圧下で鉱化剤を添加したNH3を超臨界状態にし,原料となる金属Gaあるいは GaN結晶を融解させる。温度を変化させて融解させたGaN結晶を析出させる。いわば水熱合成法で利用する水をNH3に変えたものである。同研究グループはあらかじめ種となるGaN基板を製造装置の中に入れ,アモノサーマル法によってGaN結晶をGaN基板上に析出させた。理論的には水晶のように非常に大きい結晶を作製できる上,結晶面を自由に切り出しやすいことから,東北大学らの研究グループなどが研究に取り組んでいる。大きなGaN結晶を作製できれば,GaN結晶のc面や非極性面,半極性面といった結晶面を切り出すことができる。発表ポスターにはm面とc面を切り出した基板を掲載していた(図2)。

 同研究グループは,鉱化剤にアルカリ性材料を採用する。酸性や中性の鉱化材を利用する手法があるものの,(1),(2),(3)という三つの理由からアルカリ性材料を利用した。(1)600℃以下と低温で成長可能,(2)ニッケル・クロム系を基にした材料を製造装置の腐食防止に使える,(3)GaNの析出する温度が高くてGaNの結晶性の向上を図れると説明する。アルカリ性材料を使ったことにより,NH3の温度が上昇すると溶解度が低下し,逆に温度が低下すると溶解度は上昇してGaNが溶けやすい。つまり過飽和状態になるのは高温の場合になるので,GaNの析出する温度が高くなり,その結果としてGaNの結晶性が向上する。

 今回,アモノサーマル法によってGaN結晶を育成できたのは,高温高圧状態に耐えられる装置を開発できたためである。試作品は220MPa,510~575℃で育成した。育成期間は82日である。成長レートは片面30μm/日。

 今後の目標として,さまざまな方向に発生するグレイン(結晶粒)の抑制,成長レートの向上,結晶の大型化,無色に近いGaN結晶の作製などを挙げる。例えば成長レートに関しては,水熱合成法でZnOを作製する場合と同程度の片面50μm/日にまで高める考えだ。大型化は大きな製造装置を用いることなどで実現を図るという。

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