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 HDMIの無線版と位置づけられる家庭用動画伝送仕様であるWirelessHDの規格認証試験の策定が始まっているが,試験開始までには課題が山積していることがわかってきた。特に安定した伝送を実現するために使用するスマート・アンテナの試験で問題が多そうだ。WirelessHDは,60GHz帯のミリ波無線を利用して,3G~4Gビット/秒のビット・レートで動画のデジタル・データを伝送するための技術である。

 CEATEC JAPAN 2007で日本テクトロニクス 営業統括本部 営業技術統括部 ADSCシニア・アプリケーション・エンジニアの小川哲生氏は「ディスプレイ・インタフェースの最新動向と計測手法」と題した講演の中で,計測技術の側面からみたWirelessHDを含む最新のディスプレイ・インタフェースの特徴や規格策定の動向を解説した。講演のWirelessHDに関する部分を要約すると次のようになる。

 WirelessHDはHDMIと同様に,テレビのように一般消費者が使用する民生機器に搭載する。このため,厳格な規格認証試験を実施して,誰でも対応機器を相互接続できるような状態にしておかなければならない。ところが,WirelessHDではミリ波無線という規格策定試験の仕様を定めた実績のない技術を使っているため,これまで重要視していなかった課題が次々と出てくる。例えば,使用するミリ波は指向性が高い。このため送信側と受信側をつなぐパスの間に障害物がある場合には,反射波などを使った迂回路を作る機能を備えたスマート・アンテナを使用する。

 電波の反射がない環境である電波暗室で行われる無線技術の規格認証試験には実績がある。しかし,こうした迂回路の使用を前提とした技術の試験で,どのような周辺環境を標準試験の条件にしたらよいのか指針が定まっていない。また,WirelessHDでは異なる二つの受信側の機器に動画データと音声データを伝送し分けるような仕様も想定している。こうした使用条件に対応した試験も定まっていない。

 WirelessHDの技術仕様に関しては最初の仕様が決定される間際の状態にある。しかし規格策定試験の仕様に関しては,「決定までに少なくとも1年以上かかるのではないか」(小川氏)という。

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