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 計測器市場で今,注目されている用途には次のようなものがある。例えば,車載LANなどを含む自動車,HSDPA(high speed downlink packet access)や高度化PHSなどの移動体通信,PCボードなどの自動検査システム,さらにEMC測定などである。

 これら数多くのアプリケーションの中でも,各社が新製品を相次いで投入しているのがAV機器向けの計測器である。世界の主要地域で地上デジタル放送やHDTV(high definition television)放送が始まるなど好材料が数多くあることから,この分野で計測器の需要が伸びるものと多くの計測器メーカーは見ている。

放送のデジタル化

 特に大きな需要の伸びが期待されている製品の一つが地上デジタル放送受信機向けの信号発生器(シグナル・ジェネレータ)である。地上デジタル放送の場合,欧州や米国など地域ごとに変調方式などの放送規格が異なる。このためテレビ・メーカーは,それぞれの方式に対応した信号発生器を用意しなければならない。

 このほか,デジタル放送コンテンツの基となるMPEGトランスポート・ストリームの解析システムを新たに投入するメーカーも相次いでいる。新たなデジタル・フォーマットに対応する機器開発が盛り上がっているからだ。同様に,大画面・高精細化が進むディスプレイやデジタル・ビデオ・レコーダ向けの測定器などの需要も好調に伸びているようだ。

 さらに,これからのAV機器の標準インタフェースといわれるHDMI(high definition multimedia interface)向けにプログラマブル・ビデオ信号発生器やプロトコルアナライザ,さらにHDMIで採用されている信号転送方式TMDS(transition minimized differential signaling)のテストソリューションなどHDMI向けの製品が続々と市場に登場している。

 HDMIはいわゆる「1080p(走査線数1080本/順次走査)」の高解像度ビデオと8チャンネルの音声をサポートする高速統合インタフェースだ。放送機器などに使われたDVIの改良版である。最大データ転送レートは5Gbpsにも及ぶ。HDCP(high-bandwidth digital content protection)などコンテンツ保護の仕組みも組み込まれており,1本のケーブルで各種のAV機器を結べる。

 日本ではアナログの「D端子」がすでに普及しているため,海外に比べてHDMIの普及がやや遅れている感があるが,今後のAV機器に必須であることは間違いない。このため最近のデジタルAV機器のハイエンド品のほとんどにはHDMIが搭載されている。このため量産ライン向け信号分配器やコンプライアンス・テスト(適合試験)などに使用する接続治具などHDMI搭載製品の製造にフォーカスした計測補助機器も,ここにきて充実している。(この連載終わり)