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図 展示しているTMRヘッドとディスクリート・トラック媒体のサンプル。
図 展示しているTMRヘッドとディスクリート・トラック媒体のサンプル。
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 TDKは,HDDの記録密度向上に向けた将来技術と位置づける熱アシスト記録やCPP型GMRヘッドに関する研究開発状況を明らかにした。中でも熱アシスト記録の研究開発への取り組みを公開するのは「今回がはじめて」(TDK)だという。

 展示した熱アシスト記録の成果は,光導波路を設けた試作ヘッドからレーザ光を出射し,磁気媒体にマークをトラック1周分記録したもの。試作ヘッドには記録・再生ヘッドは搭載していないため,記録媒体全体に磁場をかけ,レーザ光の熱によって記録する。光源には半導体レーザを利用する。ヘッドを浮上させながら記録するため,ABS(air bearing surface)面に加工を施した。浮上距離は6nmである。

 半導体レーザからの出射光を光導波路へ入射する手法は明らかにしていない。「他社の方式とは一味違うもの」(説明員)と説明する。「我々はヘッド・メーカー。従来のヘッドを変えるだけで,熱アシスト記録に対応できるようなヘッドを開発したい」(説明員)という。このためヘッド外部に設置した半導体レーザから光を入射する方法は採用しないとみられる。

 ヘッドから出射したレーザ光のビーム形状は楕円形。長辺側の半値幅は約0.8μmと大きい。高記録密度を実現するため今後は近接場光を利用して数十nmのスポット径にしたい考えだ。

 同社は具体的なヘッド構造を明らかにしていない。TDKが導波路の材料を開発し,導波路の構造を設計した。

 CPP型GMR素子に関しては,より高密度な記録・再生に向けてGMR素子の物理的なトラック幅を小さくした。磁気的なトラック幅は約33nm。物理的なトラック幅は「さらに小さい」(TDK)という。昨年のCEATECで発表したCPP型GMR素子の物理的なトラック幅は40nmだった。

602Gビット/(インチ)2の実証実験についても発表

 このほか,TMRヘッドとディスクリート・トラック媒体を利用してHDDの面記録密度を602Gビット/(インチ)2を実証した結果についても発表した(Tech-On!関連記事)。線記録密度は1517kBPI,トラック密度は397kTPIである。

 ディスクリート・トラック媒体は記録トラック間に溝を掘って非磁性材料を充填し,トラック間の磁気的な影響を抑制したもの。実証実験では,トラック・ピッチを64nmとした媒体を利用した。連続する三つの記録トラックに垂直記録方式で記録し,真ん中の記録トラックをTMRヘッドで読み取った。ビット誤り率が10-3になった線記録密度が1517kBPIである。トラック密度はトラック・ピッチ64nmから算出し,397kTPIとした。

 会場ではTMRヘッドとディスクリート・トラック媒体のサンプルを展示していた。