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図1 三菱電機のパワー半導体事業について語る上席常務執行役 半導体・デバイス事業本部長の長山安治氏
図1 三菱電機のパワー半導体事業について語る上席常務執行役 半導体・デバイス事業本部長の長山安治氏
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図2 パワー半導体素子と周辺回路などで構成されるパワー・モジュールの市場規模
図2 パワー半導体素子と周辺回路などで構成されるパワー・モジュールの市場規模
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図3 三菱電機のパワー・デバイス事業の売上高の推移
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 三菱電機 上席常務執行役 半導体・デバイス事業本部長の長山安治氏は2007年10月12日,報道陣などに向けて同社のパワー半導体事業について説明した(図1)。現在,モータなどの制御装置に使うパワー半導体素子としてSiによる素子を使っているが,三菱電機を含め各社はSiCを使った素子の開発に取り組んでいる。「必ずこの素材(SiC)を使う時代が来る」(同氏)と期待を込めて語った。ただし,現段階での主な課題として「MOSFETを開発できていないことや価格が高いこと」(同氏)という2点を挙げ,「いつ事業化できるかは何も言えない」(同氏)とした。

 SiCのMOSFETは現在,ロームなどが開発に成功しているものの,実用化には至っていない。価格については,SiCウエハー自体の価格が高いため「コスト計算すらしていない」(同氏)という。SiCウエハーでは,米Cree社がほぼ独占供給している状況である。

太陽電池向けが伸びる

 三菱電機はパワー半導体市場を,パワー半導体素子を販売する市場であるパワー・デバイス市場と,素子と保護回路などを組み合わせて販売するパワー・モジュール市場に分類をしている。パワー・デバイス市場の中にパワー・モジュール市場は含まれる。同社は,後者に注力する方針という。後者の市場規模は2007年度で2000億円弱の規模であり,2010年度には2500億円強に成長する見込みだ(図2)。この中で三菱電機の成長率は「ほぼ市場の伸びと同じ」(同氏)という。素子単体の販売も含めたパワー・デバイス事業全体では2007年度の計画では940億円を見込んでおり,2008年度は1000億円に達すると予測する(図3)。

 用途別にみると,伸びているのは主にロボットの制御装置などに向ける産業用途とエアコンなどの制御装置に向ける民生用途である。産業用途では今後,「風力発電事業や太陽電池事業などの成長が見込める」(同氏)とみている。民生用途については「主に中国向けのインバーター付きエアコンの伸びが期待できる」(同氏)という。

自動車事業はまだ時間がかかる

 自動車向けの用途についてはハイブリッド車の市場拡大に伴いパワー半導体市場も伸びることが予想される。ところが同社の2010年までの予測では「自動車用途が伸びるとはみていない」(同氏)。ただし「低価格のハイブリッド車が出れば,この予測を上回る可能性はある」(同氏)とする。

パワー半導体は簡単には食われない

 メモリなどの半導体事業は台湾メーカーなどの台頭で日本メーカーは苦しい状況が続いている。パワー半導体事業でも同様のことが起こるのかという質問に対しては,「先のことは分からない」(同氏)と慎重な姿勢は示しつつも「パワー半導体は設備を買ってくればすぐに製造できるというものではない」(同氏)と自信を見せた。理由として「パワー半導体の場合,大電流を扱うために雑音やEMI対策にノウハウが必要」(同氏)ということを挙げた。