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 経済産業省は2007年10月12日,消費生活用製品安全法(消安法)と電気用品安全法(電安法)の改正案を策定し,同日に閣議決定の上,現在開かれている第168回臨時国会に提出する方針を明らかにした。

 この法改正により,(1)製品の経年劣化によって起こる重大な事故を未然に防ぐ保守体制を強化,(2)PSE制度を見直し,中古品の流通を容易に,(3)Liイオン2次電池の製造・販売に,国が定める安全基準の遵守を義務付ける,の三つを同時に実現することを狙う。昨今問題となっている経年劣化した家電製品による事故やLiイオン2次電池の発火事故に対処する考えだ。今国会中に改正法が成立すれば,来春には施行される見込みである。

Liイオン2次電池の規制は電安法改正に方針変更

 今回の三つの発表は,産業構造審議会 消費経済部会 製品安全小委員会が2007年9月10日に開いた会合で公表した「中間とりまとめ(案)」(PDF形式の配付資料)で大筋が触れられていた。さらに(1)と(2)に関しては,同小委員会が2007年6月28日に,今回の改正とほぼ同一の方針が明らかになっていた(Tech-On!関連記事1)。

 一方(3)の,電安法を改正してLiイオン2次電池に対する安全基準や販売規制を適用する方針は,2007年9月10日の会合に初めて明らかにされた。この問題はこれまで製品安全小委員会ではなく,消費経済審議会 製品安全部会で議論されており,2007年6月18日に開かれた同部会でも,Liイオン2次電池を消安法が定める特定製品に指定して,安全基準の枠をはめるという方針が打ち出されていた(Tech-On!関連記事2)。

 改正法案で従来の方針が大きく変わった理由について経産省製品安全課の担当官は,「制度の趣旨は変わっていない。経産省内で法的整合性を検討した結果,消安法の特定製品への指定より,電安法を適用できるように法改正する方が適切との結論になった」と説明する。具体的には電安法を改正してその対象に「蓄電池」を追加し,Liイオン2次電池を同法の規制対象にする。Liイオン2次電池は同法が規定する「『特定電気用品』以外のカテゴリに入れる予定」(前出の製品安全課 担当官)。つまり法改正後は「PSEマーク(○にPSE)」が付かないLiイオン2次電池は販売できなくなる。ただし,特定電気用品ではないので,事業者による自主検査でPSEマークを表示できる。事業者としての届け出は必要であるが,第三者による製品検査などは必要ない。

 2007年6月18日の時点では関連業界の協力を得て進めるとしていた安全基準の策定については,「大筋はすでに完成している。まず同じメンバーが策定したLiイオン2次電池に関する安全基準をJIS(日本工業規格)に追加する。国の安全基準はJISを引用する形になる予定。現在は11月に予定されるJISの改訂を待っている段階」(前出の製品安全課 担当官)という。

 今回の改正案についてある製品安全の専門家は「業界は結局,第三者認証を含む『Sマーク』や『SGマーク』をPSEマークに加えて適用する形に落ち着くのではないか」と予想する。Liイオン2次電池の購入者である機器メーカーや消費者が電池メーカーを厳しい目で見ているからだ。「メーカーの自主検査では,信用されにくい状況はPSEマークを付けても変わらない。トータルで見たらかえってコストが掛かる結果になりかねない」。Sマークは電気製品認証協議会,SGマークは製品安全協会がそれぞれ運用する安全性認証制度である。

消安法の再改正は経年劣化対策に重点

 消安法は2007年5月14日に,2006年11月に成立した改正法が施行されたばかり(Tech-On!キーワード)。このときの改正では,重大事故の情報収集・公表制度を盛り込んだ。

 今回の改正では新たに「特定保守製品」を指定し,対象の製品の製造・輸入事業者を届け出制にするほか,事業者に対して,(1)製品の標準的な使用期間,点検期間などの製品への表示,(2)製品の点検期間の到来をユーザーに通知することとユーザーからの点検依頼の応諾,(3)既に販売した製品も含めて,基準に沿った点検を行える体制の整備,の3点を義務付ける。特定保守製品は燃焼装置や大電力を利用する設置型の機器を対象とする。まずは,ガス瞬間湯沸器,ガス風呂釜,石油温風暖房機,食器洗乾燥機,浴室乾燥暖房機などの9品目を指定する方針である。

 電安法の改正案のうち,PSE制度の見直しについては,2006年3月に大きな社会問題になったいわゆる「PSEマーク問題」(Tech-On!関連記事3Tech-On!関連記事4Tech-On!関連記事5)を是正することを目的とする。

 この問題は,1999年に電気用品取締法(旧法)から改正され,2001年4月1日に施行された電気用品安全法(新法)で,新法の安全基準に合致し,PSEマークを添付した製品以外の流通を認めないと規定したために,旧法適合の中古品の流通が事実上,不可能になったというもの。今回経産省は,旧法と新法の安全基準が同等であると認めた。法改正によって旧法適合の電気製品もPSEマークが付されていると見なし,旧法適合の中古品の販売を可能にする考えだ。