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 日鉱金属は2007年10月17日,同社がチリ国営銅公社であるCODELCO社と共同で設立したBioSigma社でバイオ・リーチングへの取り組みを強化すると発表した。バイオ・リーチングとは,微生物を利用して鉱石から金属を溶かし出す技術のこと。BioSigma社は,同技術を含むバイオ・マイニング(微生物を利用した鉱業技術)の研究開発を行っている。さらに同社は,2010年までに約18億円を投じ,同技術の実用化の推進と,基礎的研究開発の充実を図る。

 製錬方法には,大きく乾式製錬法と湿式精錬法がある。前者は,高温で鉱石を溶かして金属を得る方法で高品位鉱床を中心に採用される。それに対して後者では,鉱石に硫酸液を散布して金属をイオンとして取り出し,有機溶媒で溶液中の金属イオンを濃縮した後,電気分解によって地金を得る。乾式製錬法で採算がとれない低品位の鉱床に採用される。現在,金属資源の需要の高まりに伴い,湿式製錬への注目が高まっているという。

 しかし湿式精錬法には,鉱石の種類によっては金属イオンを取り出すのに時間がかかる,という欠点がある。例えば,酸化銅鉱石では銅が硫酸液に溶け出しやすいが,黄銅鉱などの硫化銅鉱石の場合は硫酸液だけでは銅が溶けにくい。ところが,こうした鉱石の表面に,鉄イオンを酸化する働きのある鉄酸化バクテリアを大量に繁殖させると,鉱石中の銅が溶け出てくる。従って,バイオ・リーチング技術が発展すれば,湿式製錬による鉱山開発が加速されるという*

 BioSigma社は,2002年7月にバイオ・リーチングの研究・開発を開始。2005~2007年に,2500t規模のパイロットプラントで同技術の実証実験を実施した。さらに2007年2月には,CODELCO社が所有するアンディーナ銅鉱山で,従来の製錬技術では処理できなかった低品位の硫化銅鉱石を製錬する試験操業を5万t規模で行った。この結果,同年5月には同技術で電気銅を生産することに成功している。

 今後BioSigma社は,バイオ・リーチングを早期に実用化するための開発を推進。日鉱金属とCODELCO社が所有する銅鉱山などで同技術を商業的に適用することを目指し,2010年末までに契約を結ぶ計画だ。基礎的な研究開発では,これまでに得られた微生物学やゲノム学,遺伝子工学分野などでの成果を生かし,大学と共同研究を行い,同技術をさらに発展させるという。

*:湿式製錬法については,石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の「JOGMEC NEWS」2006年1月号を参照した。