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アイデアを手軽に実現できるマイコンは,様々な機器の機能を大きく拡げる可能性を秘めている。そこで,技術者の方に参加していただき「あるモノにマイコンが搭載されたらどうなるか?」というテーマで座談会を行った。議論の対象にしたのは,読者へのアンケートから要望が高かった約20種類弱の製品。それぞれについてマイコンの応用方法や実現性などについて意見を交わした。この内容を前編と後編の2回に分けて紹介する。前編は,アンケートで特に要望が多かった「ショッピングカート」と「窓」についての議論を紹介する。

座談会に参加したメンバー
A氏:組み込みソフト技術者。音声・画像認識システムのメーカー勤務
B氏:マイコン技術者。マイコンメーカー勤務
C氏:機構系設計の技術者。カメラメーカー勤務
D氏:マイコン分野の記者
司会:Tech-On!編集

ショッピングカートの課題は「人をどうよけるか」

アンケートで要望の高かった項目
アンケートで要望の高かった項目 (画像のクリックで拡大)

司会 アンケートで最も回答が多く,しかも自由意見欄も活況だったのが「ショッピングカート」です(図1)。実はインテリジェントなショッピングカートって,実証実験のレベルでは実現していたりもします。ただ意見欄にある「人間との距離を一定に保ちながら追尾できるショッピングカート」はちょっとおもしろいかもしれませんね。

B氏 確かにカートは,特に混雑する店内ではわずらわしい存在です。マイコンの活用で何か変えられるかもしれません。

D氏 想像してみると,カートの動作の条件となる情報が結構複雑ですね。子供が飛び出してきたら自動的によけるとか。

C氏 やっぱり人をよけられないとだめですよね。カートが自分の後ろをついてきてくれて,さらに人が横を通ろうとした場合には譲ってくれるような機能があればいいかなと。

司会 仕組みを考えると,まず自分が選んだカートが,その人のものということを認識させなければなりません。そのうえで周囲の邪魔にならないように追尾させる機能が必要です。

A氏 必ずしも追尾させなくてもいいかもしれませんよ。最後にレジに持っていってさえくれれば,十分役目は果たせるかと。

C氏 カートが通路を通るから邪魔なだけで,カートを上空に持ってくるのはどうですか。トレーに商品を乗せると,上で自分の買い物としてまとめてくれるようになれば,邪魔という問題は解決しますし,通路の幅も今より少なくて済みます。

D氏 もしくはレジにストックヤードがあって,選択した商品が自動的にそこまで運ばれていくというシステムもいいかも。

司会 「カート」というより「バスケット」という考え方ですね。

マイコンよりも認識が課題

D氏 でも買い物って,いったんカートに入れたけど,後で「やっぱりこれいらない」って棚に戻すことがあるじゃないですか。それをどうしましょうか。

組み込みソフト技術者のA氏

A氏 最後の会計時に,カートから商品を落とせる機能があればいいと思います。意外と面倒でそのまま買う人も多いかと思いますけど。その点,店にとってはありがたいかもしれません。必要以上にたくさん買ってくれるかもしれないから。

司会 でもやはり消費者としては,必要以上に買わないように,リアルタイムで合計金額を知る機能が必要ですね。金額が分かればレジの従業員も少なくて済みます。

C氏 カートとして実現するならば,動力としてモーター,そして人をよけるためにセンサーやブレーキが必要になります。こうなるとある意味ロボットですね。アイボの背中にカゴがあるようなものです。そうすると機構系がかなり大きくなるような・・・。

B氏 移動のスピードがそれほど早くないので,基本的な制御であればマイコンはそれほどいらないと思います。むしろ問題は認識で,情報が多すぎて大変かも。

D氏 ある意味自動車の安全走行システムと同じですからね。

B氏 でも自動車には車線があって,それが安全走行のベースになるけど,店にはありません。店の床に線を引くとまるで工場みたいだし。

司会 カートは移動そのものよりも,情報の認識とその処理がカギになりそうですね。(次のページへ