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 アイシン高丘(本社愛知県豊田市)は,従来品から薄型化したドアビームを開発,「第40回東京モーターショー」(一般公開日:2007年10月27日~11月11日)に出品した。塑性加工(プレス)直前に鋼材を加熱しておき,プレス時に冷却する工法「ダイクエンチ工法」を適用したもの。従来よりも引っ張り強さをさらに高められるようになったため,従来比で薄い鋼板でも同等以上の部品性能が得られるという。

 ダイクエンチ工法は,鋼板を約900℃まで加熱した後,常時冷却している金型でプレスすることにより,成形と同時に金型内で焼入れを行う加工法。素材(鋼板)がもともと持つ引っ張り強度をそれ以上の値に高められるだけでなく,「成形後の形状凍結性が良く,スプリングバック量が少ない」「成形品の残留応力が少なく,応力腐食割れが発生しにくい」といった利点がある。塑性加工と焼入れを同時に行うので,焼入れによる変形なども防げる。

 同社は従来,このダイクエンチ工法を適用することで580MPa級(引っ張り強さが580MPa)の鋼材の引っ張り強さを1470MPaまで高めていた。現在は,工法そのものの改善によって580MPa級の鋼材の引っ張り強さを1800MPaまで高められる。これにより,例えば従来は厚さが1.6mmの580MPa級鋼板で製造したドアビームに関して,同等の強度を有するドアビームを厚さが1.4mmの580MPa級鋼板で実現できる。従って,ドアビームをはじめとする車体部品の薄型化や素材コストの低減が見込めるという。

 さらに同社は,表面処理済みの鋼板にダイクエンチ工法を適用することで塗装を不要にしたドアビームの試作品も開発,出品している。ダイクエンチ工法で造った部品は従来,さびを防ぐために塗装する必要があった。同社は今回,亜鉛めっきされた580MPa級鋼板にダイクエンチ工法を適用して,引っ張り強度を1470MPaまで高めた部品を試作。塑性加工後も亜鉛めっきの防錆性能に変化(劣化)がないことを確認した。塗装レス化による製造コストの低減が見込めるという。

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ダイクエンチ工法で造ったドアビーム。上から従来品(580MPa級→1470MPa),防錆タイプ(亜鉛めっき済み580MPa級→1470MPa),高強度品(580MPa級→1800MPa)。板厚は,上の二つが1.6mm,下が1.4mm。
ダイクエンチ工法で造ったドアビーム。上から従来品(580MPa級→1470MPa),防錆タイプ(亜鉛めっき済み580MPa級→1470MPa),高強度品(580MPa級→1800MPa)。板厚は,上の二つが1.6mm,下が1.4mm。
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ダイクエンチ工法の概要。
ダイクエンチ工法の概要。
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