シンガポールChartered Semiconductor Manufacturing Ltd.は,1999年第4四半期/通年の決算と2000年以降の生産能力などについて発表した(リリース文)。1999年通年の売上高は対前年比64%増の6億9430万米ドルと過去最高を記録した。1999年第4四半期の売り上げも,前年同期の2倍を超え,2億1620万米ドルと好調だった。また,同四半期の純利益は2210万米ドルと,前年同期の7720万米ドルの損失と比べると,1億米ドルに迫る回復をみせた。1999年通年の損益は,3260万米ドルの損失だが,前年の1億9000万米ドルの損失から比べると,大きく改善した。業績が好調な理由として,同社は出荷量の増加,設備稼働率の向上,平均単価の上昇を挙げている。
同社は,2000年以降の生産能力の増強計画についても発表した。2000年は既存工場の増強を図り,2000年末の生産量を,1999年の70万枚(8インチ・ウエーハ)から97万枚に引き上げる。さらに,2000年中に8インチの新規工場の建設に着工する。0.15μmの製造プロセスで,6万枚/月の生産能力をもつ予定。2001年の生産量は140万枚に達すると見込む。
12インチ工場建設の予定は,今のところない。「12インチは1品種大量生産型のDRAMやマイクロプロセサに向く。当社はシステムLSIや通信用ASSPなど,フォーカスを絞った製品に重点を当てる。小回りがきく,8インチ・ウエーハの方が都合が良い」(Chartered社Senior Vice President Business Operations, Rob Baxter氏)。
米Motorola社から
Cu配線のプロセス技術を導入
また,Baxter氏は日経エレクトロニクスの取材に対して,Cu配線技術など,新しいプロセス技術の導入についても明らかにした。Cu配線に関しては二つのプロジェクトを進めている。一つは米Lucent Technologies, Inc.と共同で米国フロリダ州で進めている。0.18μmおよび0.15μmのプロセスで,Cu配線に対応する。このプロセスは高密度/低消費電力のチップに適用する。
もう一つは,米Motorola,Inc.から導入する「HiPerMOS」。低誘電率絶縁膜(いわゆるlow-k)を採用した0.15μmのプロセス。全層Cu配線。このプロセスは高速のチップに適用する。こちらの方が,先に量産に入る。「2000年中にはCu配線のHiPerMOSで作るウエーハを量産する予定」(Baxter氏)。また,HiperMOSでは,マスク・レイアウトの最適化技術のOPC(optical proximity correction)や位相シフトも活用する。
なお,Cu配線と共に,米IBM Corp.が宣伝しているSOI(silicon-on-insulator) やSiGeトランジスタについては,「現時点では導入の予定を明らかにできない」(同氏)という。