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 日本テキサス・インスツルメンツは、液晶コントローラLSIと液晶ドライバICとの間を接続するインタフェース技術「mini-LVDS」を開発した(ニュースリリース)。画素数の増加が著しいノート・パソコン用液晶パネルに向ける。

 実際にノート・パソコンでは画素数の増加に伴い、「放射電磁雑音(EMI:electromagnetic interference)を規格値に収めることが困難になっている。さらに液晶コントローラLSIと液晶ドライバIを実装したプリント回路基板の大きさや厚さが、液晶パネルの薄型化の妨げになっている」(日本テキサス・インスツルメンツ MSP/ディスプレイソリューション事業本部 液晶ドライバ事業部の秋吉公明氏)という。

122MHzで5ライン伝送

 開発した「mini-LVDS」技術は、こうした問題を一気に解決することを目的に開発されたもの。具体的には、まず信号の振幅を下げた。従来は5Vだったが、mini-LVDSでは200mVである。さらにデータ伝送方式に差動伝送を変更した。従来採用していたのはシングルエンド伝送である。こうして技術を採用することで、信号ラインのクロック周波数を高めてバス幅を減らした。

 クロック周波数とバス幅の値については、日本アイ・ビー・エムの協力を得て最適化した。「クロック周波数を高めすぎると、プリント回路基板設計が難しくなる。逆に低すぎると、バス幅を低減する効果が薄れる。実際にシステムを設計している技術者の力が必要だった」(同社 ミックスド シグナル/ロジック事業部 ディスプレイ ソリューション製品部の出口尚司氏)からだ。

 両社が選択したクロック周波数は122MHzである。さらにクロック信号の立ち上がり時と降下時に情報を持たせるダブル・エッジ伝送を採用した。すなわちデータ伝送速度は244Mビット/秒になる。バス幅は、データ信号伝送用に4、クロック信号用に1の合計で5ライン。この伝送方式で、画素数が1400×1050のいわゆるSXGA+まで対応できる。画素数が1600×1200のUXGAは、ライン数を増やし、クロック周波数を高めることで対応する考えだ。階調数は6ビットで、8ビットには対応できない。

ライセンス料は請求しない

 開発した「mini-LVDS」技術は、米National Semiconductor Corp.が開発した「RSDS(reduced swing differencial signaling)技術の対抗する技術に位置付けられる。すでにRSDS技術は、シャープと韓国Samsung Electronics Co.、Ltd.にライセンスが供与されており、シャープはこの技術を組み込んだ液晶ドライバICの製品化を行なっている。しかし現状では、この2社以外には採用例がない。

 この理由として日本TIは、「ライセンス契約がネックになっている」(秋吉公明氏)ことを挙げている。多くの液晶ドライバICライセンス料を払ってまで、採用する考えがないようだ。そこで日本TIは「一切、ライセンス料は請求しない方針。オープン・スタンダード化をねらう」(秋吉公明氏)という。液晶ドライバICメーカなどから要求があれば、インタフェース仕様をすべて公開する予定だ。

トータル・コストは下がる

 現在、日本TIでは「mini-LVDS」技術を適用した液晶コントローラIC「TFP7401」と液晶ドライバIC「TMS57534」を開発中である。液晶コントローラICはUXGAまで対応できるが、液晶ドライバICはSXGA+までしか対応できない。2000年内にはサンプル出荷を始める計画で、製品化は2001年第1四半期を予定している。価格に関しては、「従来品に比べて若干高くなる。しかし、EMI対策部品が従来の40個程度から数個程度に減らせることや、プリント回路基板の面積が大幅に減ることを考慮すれば、システム全体のコストは下がるはず」(秋吉公明氏)。

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