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 パソコン用周辺機器インタフェースであるUSB2.0(universal serial bus)に対する期待がぐっと高まってきた。1999年12月に仕様書の0.9版が固まり,2000年第1四半期には早くも,周辺機器向けのコントローラLSIが登場する見込みである。

 USB2.0は,既存のUSB1.1と互換性を保ちながら高速化した規格である。データ転送速度は480Mビット/秒と40倍にも高まる。AV(audio visual)機器や一部の周辺機器で使用されているIEEE1394の400Mビット/秒をも上回る。

速度不足の声が高まる

  既存のUSB1.1では転送速度が不足ぎみだという声が周辺機器メーカから聞かれるようになってきた。「CD―R装置は6倍速以上の書き込み速度に対応している製品が主流になりつつあるが,USB1.1では書き込み速度が最大でも4倍速に制限される」(メルコ),「スキャナ装置の高画質化が進むに連れて,インタフェースにも高速性が要求される。現在でも8Mビット/秒~16Mビット/秒の転送速度が必要になっており,USB1.1では性能が足りない。カラー・インクジェット・プリンタでは高速印刷が求められている。現在は機構系が印刷速度を律速しているが,2001年にはヘッドの数やヘッドの水平方向の移動速度を改良できるメドが立った。このときUSB1.1の転送速度不足が顕在化するだろう」(セイコーエプソン情報画像事業本部)。このほかハード・ディスク装置は,すでにUSBでは転送速度が足りなくなっている。

  転送速度の不足を解消するにはIEEE1394を利用する手もある。ただIEEE1394は,搭載しているパソコンの機種が限られており,周辺機器メーカは,別にインタフェース・ボードを用意しなければならない。数千円のコスト増が発生する。「パソコンが普及するためにはさらに価格が下がる必要がある。たとえば400米ドルのパソコンを作ろうとした場合,汎用のインタフェースは一つだけという状況が望ましい。それにはUSB2.0が適している」(ヤノ電器)という。

USB2.0の課題は三つ

 IEEE1394には速度面以外でもUSBにはない特徴がある。Isochronous転送モード,パソコンを介さなくても周辺機器同士を直結できる機能などである。こうした機能を必要としない周辺機器にとっては,USB2.0があれば十分といえる。USB2.0の採用を検討しているメーカからは「スケジュール,互換性,コストという三つの条件がIntel社の明らかした通りならUSB2.0は大歓迎である」(セイコーエプソン)という発言が聞かれる。この声はUSB2.0に対する周辺機器メーカの期待と不安の両方を象徴している。

  三つの条件のうち,もっとも不確かなのは開発スケジュールである(図1)。USB2.0対応はコントローラLSI,パソコン本体,OSの対応と進み,最後に周辺機器が登場する。コントローラLSIについてはIntel社の計画どおりのスケジュールになりそうだ。「現在はRTL(register transfer level)で開発を進めているが,技術仕様が固まる0.9版に至れば,論理合成やゲート・レベルの設計を始められる。早ければ2000年3月末に,遅くとも6月には機器メーカに対してサンプル出荷ができるようになる見込み」(川崎製鉄)という。

パソコン・メーカは自信たっぷり

  パソコン・メーカからは不安の声が聞かれない。たとえばNECは1999年9月に発売した家庭用パソコン「simplem」にIEEE1394を搭載した。「400Mビット/秒とUSB2.0に近い転送速度を達成しているが,メイン・ボードは通常の4層プリント基板を使い,LSIをメイン・ボード上に配置した。USB2.0でもIEEE1394と同様な設計で十分と考えている」という。   スケジュールを大きく左右しそうなのがOSの対応である注3)。米Microsoft Corp.は,2000年末に現在のWindows 98の後継となる家庭向けOS「Millennium」にUSB2.0用のドライバ・ソフトウエアを組み込むとしている。LSIが登場してから半年の遅れが生じる。Windows 98とWindows 2000用は2001年の第1四半期以降にズレ込む。

  スケジュールに関してさらに手厳しい予想をするメーカもある。米国でUSBコントローラLSIのシェアが高いベンダである米Cypress Semiconductor Corp.によると,Microsoft社のドライバ・ソフトウエアが登場するのは2001年夏になり,USB2.0用の周辺機器が豊富に出回るのは2002年第1四半期まで遅れそうだという。

OSの対応遅れが懸念材料

  OSの対応があまりに遅ければ,それを待てない周辺機器メーカがIEEE1394になびく可能性もある。なぜなら,米Apple Computer,Inc.の「iMac」やソニーの「VAIO」といった人気の高いパソコンはIEEE1394を積極的に採用しているからだ。しかもIEEE1394用のコントローラLSIの価格は2000年には,現行の半分に当たる6米ドルまで下がるとみられる。「USB2.0にも関心があるが,まだ1年間は周辺機器を大量に出荷できるような状況にはならないだろう。当社は引き続きIEEE1394対応の周辺機器を充実させていく」(メルコ)といった声も聞かれる。

記事の続きは,2000年1月3日号,pp.41-46をお読み下さい。

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