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――Rambus社の特許はいつまで有効なのか。

桐原氏 1994年の米国特許法改正により,サブマリン特許への対策として特許の保護期間が見直された。以前は,特許の保護期間は成立から17年間だったが,改正により出願から20年に変更された。つまりRambus社の特許でいえば,以前の特許法によると成立した1999年から数えて17年後の2016年まで,改正特許法では出願した1990年から数えて20年後の2010年までとなる。Rambus社の特許が出願されたのは,特許法改正の前にあたることから,以前の特許法が適用される。つまり2016年まで,特許は有効になるはずだ。

――特許成立前の製品についても,侵害による賠償金を支払う必要はあるのか。

桐原氏 必要ない。それぞれの特許が成立した日の後に出荷された製品が侵害の対象になる。

――Rambus社は日立製作所だけを訴えた。同様な技術は他社も採用している。特定メーカだけを訴えることは法的に不当ではないのか。

桐原氏 法的には問題ない。だれも訴えないことも,特定メーカだけを訴えることも,すべてのメーカを訴えることも権利者の自由である。

――メーカごとにライセンス料の条件を変えることは認められるのか。たとえば,Rambus仕様DRAMの製造に積極的なメーカに対してはライセンス料を低く設定し,競合メモリを製造するメーカには高く設定するとか。

桐原氏 特定メーカにだけライセンスするのも,まったくライセンスしないのも特許権者の自由である。メーカごとにライセンス条件を変えることも原則として認められている。ただし,ライセンス条件があまりにも不平等な場合には独占禁止法違反となる可能性がある。

――Rambus社は,侵害対象となった製品を採用した機器メーカを訴えることはできないのか。

桐原氏 可能だ。実際,メーカではなくユーザを訴えることで,すみやかに和解に持ち込むことをねらった訴訟の事例もある。

――日本や欧州では,今回の特許侵害とされた製品を製造・販売することは認められるのか。

桐原氏 特許は国ごとに成立する。つまり,今回の特許侵害は米国以外の地域における製造・販売活動には影響を及ぼさない。米国特許法には,海外で米国特許製品の部品を製造するといったいわゆる寄与侵害に対しても域外適用を認める規定があるが,日本の裁判所はそのような域外適用を認めていない。

――日立製作所が裁判で争うとしたら,どのような対抗措置が考えられるのか。

桐原氏 一つは特許を抵触していないと主張すること。それができないなら,成立した特許が無効であることを証明すること。そのためには,特許が申請された時点で,ほかに公知例があることを具体的に示し,特許に新規性がないことを証明しなければならない。それもダメなら,最初に出願された1990年の特許と,最終的に成立した1999年の特許が別のモノであることを証明する方法もあり得る。サブマリン特許の場合,オリジナルの特許と成立した特許の実体が食い違っている可能性もある。この記述が,成立した特許とほぼ同じであるとすれば,残された道は和解に持ち込むしかないだろう。

(桐原 和典氏=小島国際法律事務所)