米Sun Microsystemsは米国時間の99年8月2日,動画/音声やアニメーションなどのマルチメディア・データを効率的に処理できる汎用マイクロプロセサを開発中であることを明らかにした。同プロセサが採用する新しい命令セットを「MAJC」(Microprocessor Architecture for Java Computing,「マジック」と発音する)と名づけて,その概要を8月15日~17日に米Stanford大学で開催する学会「HOT Chips 11:A Symposium on High-Performance Chips」で発表する。学会発表は最終日に当たる8月17日。その前日である8月16日にはプレス向けにも発表する予定という。
MAJCは,Sunが以前に開発意向を表明した「UltraJava」の命令セット。動画像/音声などをリアルタイム処理するシン・クライアントやビデオ会議システム,ビデオ配信サーバーなどでの利用を想定して開発を進めてきた。
UltraJavaがJavaベースのソフトを高速実行することに力点を置くのに対し,MAJCは汎用プロセサ向けとした点が大きく異なる。ただ, UltraJavaが既存のJavaチップとは違って汎用プロセサに近いアーキテクチャを採る予定であったことを考えれば,技術的に大きな違いはない。
UltraJavaは,マルチメディア・データのリアルタイム処理とJavaで開発したアプリケーションを高速実行することの両立を図る目的で命令セットを新たに設計,picoJavaとは非互換のチップとなる予定だった。このことは,Sunの半導体事業部門で開発担当の副社長を務めるAnant Agrawal氏がすでに数年前から明らかにしていた。また,同氏はUltraJavaがJavaで開発したソフトの実行にJITコンパイラ(Javaで開発したソフトの標準的なバイナリ配布形式であるバイトコードをハードウエアで実行できる形式に変換するコンパイラ)を必要とすることも認めている。
なお,MAJCにどれだけの市場性があるのかは現時点で定かでない。少なくともSunが詳細仕様を公開した後にMAJCが既存技術に比べてマルチメディア用途でどれほど優位性があるかを吟味する必要があるだろう。(佐藤 康朗= ニュースセンター)