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図1◎オティックスが展示した「バルブマチック」のカム機構
図1◎オティックスが展示した「バルブマチック」のカム機構
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 オティックスは「人とくるまのテクノロジー展2008」に、トヨタ自動車「ノア/ヴォクシー」の「3ZR-FAE」エンジンに採用された可変バルブリフト機構「バルブマチック」のカム機構を展示した。バルブマチックは「プレミオ/アリオン」の排気量2.0Lモデルにも採用されており、今後も採用車種が拡大する予定。

 バルブマチックは、最大リフト量となる角度は変わらずバルブの作用角を変化させるのが基本。リフト量が小さい場合には開弁時期が遅くなるため、可変バルブタイミング機構と組み合わせて開弁時期をコントロールしている。

 同種のシステムとしてはドイツBMW社の「バルブトロニック」、日産自動車の「VVEL」が実用化されている。トヨタのバルブマチックの特徴は、カムシャフトとコントロール軸の2軸を平行に配置することで、エンジン高をほとんど高くせずに搭載できること。また、シリンダヘッドの下部はローラロッカアームや油圧ラッシュアジャスタ、バルブなど既存の部品をまったく変更せずに、カムキャリアから上だけを変えることで搭載可能。

 一般に可変バルブリフト機構は、コントロール軸を回転させることで、ロッカアームの支点を変えてリフト量を変える仕組みが多い。これに対して、バルブマチックではコントロール軸に当たるロッカシャフトと呼ぶ部品をエンジンの軸方向に動かす。

 ロッカシャフトの周りには、気筒ごとにカムの動きによって押されるローラアーム(図2ではアーム2)とその両脇に存在する揺動カム(アーム3、4)がある。ローラアームと揺動カムは内側でヘリカルギアを持つスライダに結合されており、ロッカシャフトに設けたピンがこのスライダの位置を軸方向に変えることでローラアームと揺動カムの相対角度が変わる。

 図3のようにロッカシャフトが左にあるときは、スライダの位置も左側にあり、ローラアームと揺動カムの角度差が少ない。このため、リフト量が小さくなっている。一方、図4のようにコントロール軸が右にあるときは、角度差が大きくリフト量が大きい。リフト量は最小で0mmとすることも可能だが、現在適用しているのは最小で1mm、最大で11mm。ただ、部品のばらつきによって左右のバルブでリフト量が変わる可能性がある。このため、最小のリフト量となる位置で、左右のリフト量の差が8μm以内になるように、ローラアームと揺動カムの間に入れるシムの厚さを調整している。

 また、各気筒でリフト量がそろうように、組み立て時にはカムキャリアと揺動カムの間にU字形のシムを入れて調整する。なお、各ローラアームには2次元バーコードが印刷されており、いつ製造したか、どのような部品と組み合わせたかといったトレーサビリティを確保している。

 製造上の特徴は、スライダのヘリカルギアを冷間鍛造とロール転造で成形し、ギアを加工するのに機械加工を廃したこと。スライダは炭素鋼S45C製であるが、まず揺動カムとかみ合う左右のギアを冷間鍛造で形成し、その後にロール転造で中央のギアを作る。なお、揺動カムは焼結品でファインシンターが製造している。

図2◎部品の構成
図2◎部品の構成
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図3◎ロッカシャフト、スライダが左にある場合
図3◎ロッカシャフト、スライダが左にある場合
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ロッカシャフト、スライダが右にある場合
ロッカシャフト、スライダが右にある場合
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図5◎スライダとアームの構造
図5◎スライダとアームの構造
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