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 機器からWebまで一貫させたユーザー・エクスペリエンスを実現するため,我々は筐体デザイン,組み込みソフトウエア,Webサービスを自社で開発しています。この点が,大手機器メーカーと比べた我々の一番の強みだと考えています。

 我々は「デジタル・カメラを再発明する」意気込みで開発に取り組んでいます。例えば,1986年に発売された「写ルンです」は,機能は単純ながらカメラの使い勝手を飛躍的に高めたという意味で,フィルム・カメラの再発明といえます。これと同じような意味で,デジタル・カメラの世界を変えることを目指しています。

——デジタル・カメラの開発には,筐体のデザインから回路設計,ソフトウエア開発,製造と膨大な工程を要します。ベンチャー企業がどこまで手掛けられるのでしょうか。

岩佐氏 Cerevoが手掛けるのは,機器の企画やマーケティング,そして組み込みソフトウエアやWebサービスの開発,サーバーの運営です。目指しているのは,Apple社のような立ち位置です。まあ,我々はOSまでは作れませんが…。

 メイン基板の設計や機器の組み立ては,国内の設計/製造受託会社に委託し,その委託先を通じて海外の工場で製造します。具体的には,筐体のデザイン,LSIやメモリといった基幹部品はこちらが指定し,「この筐体デザインに対応したプリント基板の設計,金型設計,製造をお願いしたい」という形で委託するスタイルですね。

 筐体の外装デザインは,国内のデザイン会社と共同で開発しています。すでに外装のモックアップはできています。筐体の大きさは一般的なコンパクトデジタルカメラぐらい。ただし,デジタル・カメラの再発明なので,「ボタンが一杯」「メタル基調」といった既存のカメラの特徴は一旦忘れました。「これってデジカメ?」と思うほど斬新なデザインなので,楽しみにして下さい。

——機器の仕様(スペック)を教えて下さい。コンセプトから言えば,大手メーカーのデジタル・カメラのような多機能・高性能は求めていないと思いますが…。

岩佐氏 例えば,画素数などの数字で大手メーカーと競う気はありません。ブログやSNSに写真をアップロードするには,実際には640×480もあれば十分ですから。それより,起動時間とかUIといった,使い勝手を左右する要素の方がはるかに重要です。例えば,光学ズームを導入すると,レンズの準備で起動に時間がかかったり,ズームのためにボタンが二つ余分に必要になったりと,使い勝手の面ではデメリットが大きくなります。

図4 開発中のデジタル・カメラのリファレンス・ボード
図4 開発中のデジタル・カメラのリファレンス・ボード (画像のクリックで拡大)

 画像処理LSIは,米Texas Instruments社(TI社)の「DaVinciシリーズ」を採用する予定です。他社のチップも検討しましたが,デジタル・カメラに使うには自社開発しなければならない要素が多すぎました。TI社のDaVinciは,デジタル・カメラやデジタルビデオカメラに必要なオート・フォーカスやオート・ホワイトバランスといった機能をあらかじめ実装してあります。

 フラッシュ・メモリの実装方法や容量はまだ検討中ですが,恐らくmicroSDメモリーカードのスロットを実装することになるかと思います。MicroSDは容量当たりの単価が恐ろしく安い上,実装面積も狭くできます。