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 Apple社は,2005年にはiPhoneの構想を固めていたもようである。ある部品メーカーの技術者によれば,「Apple社から,携帯電話機に使うとしか考えられない部品に関する問い合わせが2年ほど前にあった」という。iPodシリーズの開発期間が半年~1年程度であることと比較すると,iPhoneの開発がApple社にとっていかに大掛かりで難産だったかがうかがえる。

モジュール間をフレキで接続

図2 大きな体積を占めるLiポリマ2次電池 Liポリマ2次電池は,コネクタを使わずにメイン基板と接続してある。iPhone全体に対して,表面積の約30%,体積の約15%を占める。
図2 大きな体積を占めるLiポリマ2次電池 Liポリマ2次電池は,コネクタを使わずにメイン基板と接続してある。iPhone全体に対して,表面積の約30%,体積の約15%を占める。 (画像のクリックで拡大)

 iPhoneを分解すると,外観デザインによってあらかじめ決められた空間の中に,必要な機能を苦心して配置した印象を受ける。例えば同社はメイン基板として,主要機能を集めた2枚の小型基板を重ねている(図1のメイン・モジュールと無線モジュール)。これにより,約41mm×50mm×5.4mmと大ぶりな2次電池などの他の部品を収納する空間を確保した(図2)。

 内部の空間にほとんど余裕がないため,メイン基板と他のモジュールとをつなぐフレキシブル基板が,狭い筐体内を這い回るように配置されている。例えばディスプレイ部の接続では,内部のフレームに設けた隙間にフレキシブル基板を通し,その後で折り曲げるようにしてメイン基板と接続している。

図3 フレキシブル基板を活用 タッチ・パネルや液晶パネル,ドック用コネクタなどをメイン基板と接続するために,フレキシブル基板を多用している。またアンテナは,唯一樹脂製の筐体である背面の下部に配置した。無線LANとBluetoothはアンテナを共用している。
図3 フレキシブル基板を活用 タッチ・パネルや液晶パネル,ドック用コネクタなどをメイン基板と接続するために,フレキシブル基板を多用している。またアンテナは,唯一樹脂製の筐体である背面の下部に配置した。無線LANとBluetoothはアンテナを共用している。 (画像のクリックで拡大)

 比較的高価なフレキシブル基板の総面積の大きさにも,分解に協力した技術者たちは驚きの表情を見せていた。特に,本体の下部にあり,パソコンなどと接続するための「ドック」用コネクタとの間は,幅広のフレキシブル基板を長い距離にわたって利用している(図3)。

 ドック用コネクタなどに接続しているフレキシブル基板は,端子数が45もある。同社はこれまでのiPodでは,ドック用コネクタをじか付けできる場所にメイン基板を配置してきた。しかし,今回のiPhoneではメイン基板とドック用コネクタを離れた場所に配置するという,コスト増につながる構成を採った。その一因は,メイン基板に取り付けたSIMカード・スロットにあるとみられる。iPhoneは継ぎ目がない筐体が売り物で,ユーザーが筐体を開けられないようにしている。このためSIMカードを出し入れするには,筐体のどこかにスロットを設けなければならない。スロットを本体上部に配置した結果,メイン基板をドック用コネクタに近い位置に置けなかったと推測できる。ここにも,Apple社の外観デザイン重視の方針が垣間見える。