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多数の低背部品を採用

 このほか薄型化に貢献した要素として,メイン基板に実装した半導体や電子部品に,割高な低背品を採用したことがある。2枚の基板を重ねた状態で厚さを約5.6mmに抑えた。低背品の代表例が,メイン・モジュールに実装したコネクタである。6個のボード間接続用コネクタと,1個のFPC接続用コネクタが実装してあった(図4)。いずれも「高さ0.8mmなどの最新の低背型を使っている。各種コネクタのコストは500円近くになりそう」(あるコネクタ・メーカーの技術者)注2)

図4 心臓部はSamsung社製のSoC iPhoneのソフトウエアを実行するのは,SamsungElectronics社が製造した,AppleブランドのARMコア内蔵SoCである。Samsung社はフラッシュ・メモリも供給している(a)。基板の裏面にはSIMカードのスロットや他のモジュールと接続するためのコネクタなどを実装してあり,いずれも低背型の品種を使っている(b)。部品のメーカーと用途は本誌の推定。(写真:林 幸一郎)
図4 心臓部はSamsung社製のSoC iPhoneのソフトウエアを実行するのは,SamsungElectronics社が製造した,AppleブランドのARMコア内蔵SoCである。Samsung社はフラッシュ・メモリも供給している(a)。基板の裏面にはSIMカードのスロットや他のモジュールと接続するためのコネクタなどを実装してあり,いずれも低背型の品種を使っている(b)。部品のメーカーと用途は本誌の推定。(写真:林 幸一郎) (画像のクリックで拡大)
注2)メイン基板では,厚さだけでなく実装面積の削減にも配慮した形跡がある。2枚の基板のいずれにも,0603サイズのコンデンサや抵抗を大量に使っている。合計300個程度あるようだ。「米国の携帯電話機メーカーは,ようやく0603部品を使い始めるところにある。Apple社はiPodで0603部品を使っていたこともあり,他の米国メーカーに先んじて携帯電話機に0603部品を使ったことになる」(ある部品メーカーの技術者)。ただし,メイン基板のうち無線モジュールの方は,実装面積に余裕があるようにみえる。
図5 スピーカーは独自設計 本体下部の左側に配したスピーカーは,標準品を使わずに独自に設計したものとみられる。面積を小さくするために電磁誘導方式を採用し,厚さを抑えるためにフレキシブル基板で真横に配線を出している。
図5 スピーカーは独自設計 本体下部の左側に配したスピーカーは,標準品を使わずに独自に設計したものとみられる。面積を小さくするために電磁誘導方式を採用し,厚さを抑えるためにフレキシブル基板で真横に配線を出している。 (画像のクリックで拡大)

 狭い空間に収めるために,今回独自に設計したとみられる部品もある。本体下部の左側に配した,音楽を再生したり効果音を発したりするときに使うスピーカーである。このスピーカーは,電池の下部にあるアンテナの背後の空間に,液晶パネルの画面と平行に置かれている。スピーカーの外形寸法は約12mm×16mm×4mmと小さい(図5)。この大きさで高音質を確保できる標準品が見付からなかったため,開発に踏み切ったとみられる。

 性能を高めるためにデザインで妥協したらしい部分もある。筐体の背面下部にある黒い樹脂部品である。既存のiPodでは背面の全体が金属部品であるため,違和感を覚えるユーザーが少なくないようだ。この部分にはアンテナを収めてあり,無線通信の受信感度に配慮した結果なのだろう。