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コンテンツに視聴制限を施さず,ユーザーによる2次創作物も許可した上で,これまで以上に多くの対価をクリエイターに還元できるようにする。そんなサービスが実現すれば,権利者,メーカー,ユーザーのいずれにとっても理想的といえます。しかし,そんなことが本当に可能なのでしょうか。

 理想を一足飛びに実現することは難しいでしょうが,そこへ向けて動き出した企業がいくつもあることは事実です。今後何年かかけて,よりよいサービスの仕組みを追求することになりそうです。

 新たな世界の扉を開く鍵は,適切なサービス設計と,それを可能にする技術です。角川グループの取り組みの基礎にあるのは,投稿された無数の動画の中から同グループが権利を有するものを自動的に識別する「電子指紋」の技術です。このほか,権利者や購入者の情報をコンテンツに埋め込む「電子透かし」の技術なども重要になるとみられます。これらを利用して,権利者,ユーザー双方が納得するサービスを構築できた企業が,将来のコンテンツ流通で大きな役割を果たすのは間違いありません。

 ダビング10やiPod課金を巡る騒ぎを見てもわかるように,権利者と,消費者やメーカーの間には現在大きな溝があります。しかし,コンテンツの産業をもり立てていくことが究極の目標だとすれば,本来三者は協力できるはずです。それぞれの利益の追求を,産業全体の振興につなげる道があるはずなのです。その第一歩は,ユーザーと権利者の双方の利益に配慮した新しいサービスの実現です。まず法律ありきで議論をいくらしても,新しいビジネスを生むのは難しいでしょう。