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図1◎「大規模・高純度プラスチックリサイクル」のフロー。
図1◎「大規模・高純度プラスチックリサイクル」のフロー。
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図2◎帯電率の違いによってPSとABSを選別する。
図2◎帯電率の違いによってPSとABSを選別する。
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図3◎自己循環リサイクルの比率の変化。
図3◎自己循環リサイクルの比率の変化。
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図4◎プラスチック製造時のCO2発生量の変化。
図4◎プラスチック製造時のCO2発生量の変化。
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 三菱電機は,使用済み家電製品のリサイクル工程で発生する混合プラスチックからポリプロピレン(PP)などを99%以上の純度で選別・回収し,同社の家電製品にリサイクルする「大規模・高純度プラスチックリサイクル」を2009年秋に開始する。この事業により,PPやポリスチレン(PS),アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)を年間で約6400t回収できる。

 一般に,使用済みの家電製品から回収したプラスチックを自社製品に再利用する「自己循環リサイクル」は,経済性や環境負荷の観点から優れている,とされる。しかし,複数のプラスチックが混在する中から手作業で選別・回収するため処理量に限界がある。さらに,目視による選別が比較的容易な単一素材のプラスチック部品しかリサイクルできないのも課題だった。

 三菱電機では,1999年に家電リサイクルプラントとしてハイパーサイクルシステムズ(本社千葉県市川市)を立ち上げ,年間600tのプラスチックを家電製品にリサイクルしてきた。しかしリサイクル量は,破砕プラスチックの全重量の6%にとどまっている。選別・回収が難しいものや複合プラスチックは,破砕後に金属類を取り除いても,金属と多種類のプラスチックで構成される混合プラスチックとして扱われ,素材価値がほとんどない。そのため同社は,この混合プラスチックを高炉還元材として製鉄所に供給している。

 新事業では,PPとPS・ABSを比重によって選別し,さらにPSとABSを帯電率の違いによって分ける(図1)。既に同社は,水より軽いPPを比重によって選別して回収する技術を確立(Tech-On!関連記事)。量産技術検証として,冷蔵庫の水受けや食器洗浄機の下部カバーなどに年間数十tを利用している。さらに今回,PSとABSを高純度に選別するために,帯電率の違いを利用して選別する「静電選別技術」を開発し,適用した。

 静電選別ではまず,帯電筒にPSとABSを含む粒状のプラスチックを入れ,筒の回転によってプラスチックを擦り合わせて帯電させる。すると,PSは-に,ABSは+に帯電する。それらを,電圧を印加した電極間に落下させて,PSを+の電極側に,ABSはをの電極側に集める(図2)。この工程で,粒状のプラスチック同士が電気的な力で引き付け合ってかたまり状になると,選別精度が低下する。そこでプラスチックの摩擦帯電量をできるだけ多くすることで,精度の低下を防いだ。これにより,PSとABSを99%以上の純度で得られるようになった。

 同事業によって同社のプラスチックの自己循環リサイクル量は,年間7000tに拡大する(図3)。混合プラスチックからPPやPS,ABSを自己循環リサイクルすることで,同社の家電事業で使用するこれらのプラスチックを約18%削減できる見通しだ(図4)。新しいプラスチックの使用量を抑えられるので,CO2の排出量も年間で6700t減らせる。なお,混合樹脂の再素材化工場の運営は,同社の関連会社であるグリーンサイクルシステムズ(本社千葉県市川市)が担当する。

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