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Google Chrome
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Google Chromeの基本技術
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 「Webブラウザーの閲覧速度が速くなれば,検索の件数も増える。つまり,Webブラウザーの改善は,我々のビジネスに重要なインパクトを与えるということだ」(米Google Inc.,Co-Founder and President,ProductsのLarry Page氏)。

 2008年9月2日,Google社はWebブラウザー「Chrome」を正式発表した。同社PresidentのPage氏によれば,独自のWebブラウザー開発の狙いには,同社のオンライン広告ビジネスへの期待が背景にあると言う(発表資料Tech-On!関連記事)。

 Google社はChromeで,従来のWebブラウザー技術からの脱却を目指した。従来のWebブラウザーは,テキストや静的なグラフィックス・データ表示に向けたものが中心であり,「1995年に米Netscape社が開発したWebブラウザー技術の延長」(Google社)との見方である。既にそれから13年が経過し,Webサイトの状況は当時とは大きく様変わりしている。例えば多くのWebサイト及びWebアプリケーションは,JavaScriptなどの技術を用いた動的アプリケーションを採用している。Google Chromeは,こうしたWebサイトの速度やユーザー体験向上に向け,新しい技術を導入した。さらに,動的なWebサイトおよびアプリケーションに最適化したユーザー・インターフェース(UI)も備えた。Google社は,こうしたまったく新しいWebブラウザー開発のため,2年の月日と,「莫大な資産を投入した」(同社,Vice President of Product ManagementのSundar Pichai氏)としている。

 Google Chromeのために,Google社は新たな2つの基本技術を開発した。一つは,JavaScriptを採用するWebアプリケーションのブラウザー内において,処理時間を短縮できる「V8」と呼ぶJavaScriptエンジンである。もう一つは,Google Chromeを,マルチ・プロセスのプログラム構造にしたことだ。ユーザーがブラウザー内に開くタブにおいて,Webサイト/アプリケーションは一つのプロセスとして動作する。もし仮に,一つのWebサイトやアプリケーションで何らかの問題が発生した場合でも,Webブラウザー全体がクラッシュされるのを防ぐ,といった目的のために導入した。Google Chromeで導入したこれらの手法は,マルチコア構成のマイクロプロセサに適しているという。Google Chromeは,オープンソース技術である「WebKit」をベースにしている。WebKitはこれまでに,米Apple Inc.の「Safari」やフィンランドNokia Corp.の「Nokia Series 60」などのWebブラウザーでも採用されている。

 Google Chromeではさらに,ブラウザー内に存在するUIエレメントをできるだけ減らす工夫を盛り込んだ。例えばユーザーは一般的に,Webブラウザーのメインの入力フィールドではなく,Google Toolbarなどのサブ・フィールドに,検索条件を記入する例が多くなっている。Google Chromeでは,こうした入力フィールドを一つに統一している。ユーザーは,各種の検索エンジンをカスタム設定できるとしている。Webアプリケーションをブラウザーのタブを使って,個別のアプリケーション画面として動作させる機能も組み込んだ。

 Google社は,Google Chrome向けに開発した技術を,パソコン以外の組み込み機器などにも展開していきたい考えだ。「Android」の携帯端末向けOSに搭載しているWebブラウザーとGoogle Chromeは,大量のコードを共有しているという。さらに,開発したJavaScriptエンジン「V8」は,x86のアーキテクチャー以外に,既にARMコアに移植済みという。現在のベータ版においては,同ソフトウエアのファイル容量は7Mバイトだが,将来はさらに減らせる見込みという。

 Google Chromeは,オープンソースのBSDライセンス上で配信している。同社は,こうしたオープンソース戦略によって,Google Chromeを業界内に幅広く普及させることができると期待する。なお同社はこのGoogle Chromeについて,「Chromium」と呼ぶオープンソース・プロジェクトとして公開した(同プロジェクトのWebサイト)。