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デンソーの岩井明史氏
デンソーの岩井明史氏
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 デンソーは「車載電子制御システムにおけるソフトウエア技術動向」と題し,「AT International 2008」の講演会「ATIフォーラム」で講演した。講演者は同社電子プラットフォーム開発部主幹の岩井明史氏。

 クルマのエレクトロニクス化は1970年に定められた排ガス規制を契機に始まった。当初はエンジン制御や点火制御が主体だったが,現在では,(1)エンジンやミッションなどのパワートレーン制御,(2)ブレーキやトラクションなどのシャシー制御,(3)エアコンやセキュリティなどのボディー制御,(4)カーナビやETCなどの情報通信制御――といった四つの部分それぞれがエレクトロニクス化されている。

 このうち,パワートレーン制御やシャシー制御は「ミリ秒」オーダーのリアルタイム性ときわめて高い信頼性が求められる。一方で,ボディー制御や情報通信制御はそこまで要件が厳しくないなど,それぞれに特性があるという。

 自動車向けソフトウエアは規模の拡大が続いていて,開発人員の確保や開発期間の短縮が課題になっている。ソフトウエア部品の再利用化と影響の局所化を図ることを目的として,オブジェクト指向の手法が1990年以降に主流になった。さらに2000年ごろからは,より上位概念でソフトウエアの機能を記述できるモデルベース開発手法が用いられるようになり,さらに最近ではプラットフォームベース開発手法が試行されつつある。たとえば,AUTOSAR,FlexRay,JasParといった標準プラットフォームが提唱され,すでに一部では実用化が始まっている。

 その一方で,「現在のプラットフォーム開発手法では,パワートレーン制御などに求められるリアルタイム性を規定することができない」(岩井氏)と指摘した。同社ではタイミングやリソースの制約を上流工程でモデル化するといった方法を検討しているが,まだ確立できていないという。

 また,AUTOSARなどが目指すアプリケーションの標準化や流通化は簡単ではないとの指摘もあった。マイコンなどハードウエアを抽象化するレイヤを設けたとしても,すべての機能を抽象化することはできないため,ハードウエア依存がどうしても残ってしまうのがその理由だ。