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図1◎低価格を打ち出した立型3軸MC。汎用機で高速加工を特徴とする。
図1◎低価格を打ち出した立型3軸MC。汎用機で高速加工を特徴とする。
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図2◎アルミニウム合金製のサンプル部品。素早く加工できることをアピールする。
図2◎アルミニウム合金製のサンプル部品。素早く加工できることをアピールする。
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 ついに,「価格破壊」の波が──。2008年9月8~13日に米国シカゴ市で開催される工作機械の見本市「IMTS2008(シカゴショー)」では,工作機械の分野にも,“破壊的”な低価格の波が襲ってきたことが明確になった。日本の大手メーカーよりも「3~4割」(大手日本メーカー)も安い価格を提示し,米国市場で攻勢をかけるメーカーが目に付く。そうしたメーカーは,「安さこそ最大の顧客満足」とばかりに,製品の前面に価格を表示して来場者の注目を集めている。

 この背景には,米国市場の顧客が置かれた環境の影響が色濃く反映されている。米国には「ジョブショップ」と呼ばれる,資金力がそれほど豊富ではない中小規模の加工メーカーが多い。親会社から仕事を請け負う,いわゆる「下請け」企業だ。加えて,こうしたメーカーに仕事を発注する親会社が四半期ごとに決算を行うスピードの速い経営を行うことから,「今来た仕事を今こなす」と考える工作機械の顧客が増えている。こうした顧客は工作機械の寿命よりも,初期投資の低さ,すなわち低価格を重視するというわけである。

 「6万2995米ドル」(約680万円,1米ドル=108円換算)という値付けをしたのが,米国最大の工作機械メーカーであるHaas Automation社の立型マシニングセンタ(MC)「Super VF-2SS」だ(図1)。最大出力22.4kW,最大回転数1万2000rpmで高速に回る主軸を搭載。早送り速度が35.6m/分と速く,工具交換時間が1.6秒と短い自動工具交換装置(ATC)も備えた。移動量はX軸762×Y軸406×Z軸508mmの汎用タイプだ。限られた時間で大量のワークピースを加工できることを特徴とする製品である(図2)。

 同社が安く造れる理由は,「コストを完全にコントロールできること」(同社)にある。まず,カリフォルニア工場で集中して造り,生産や管理のムダを省く。加えて,外注をできる限り減らし,90%以上の部品を内製する。例えば,制御の心臓部であるNC装置も,多くの工作機械メーカーが独Siemens社やファナック製の製品を購入するが,Haas社は自社で開発・生産している。また,年間1万7000台と大量に生産することで,調達や生産において量産効果を得られる。おまけに,「労働組合もない」。

 決して高級ではないが,基本機能が充実した製品。安い価格。グローバル企業としてのサービス体制の充実。これらの三つを特徴に,同社は米国で「平均して40%のシェアを占めている」(同社)。特に,ローエンド市場では,韓国Doosan Infracore社と激しい首位争いを演じているという。

【訂正】記事掲載当初,最後の段落にありました「韓国Doosan Mecatec社」は「韓国Doosan Infracore社」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。記事本文は既に訂正済みです。