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図1◎「価格破壊」を仕掛ける「DNM」シリーズ。Doosan社の急成長の「エンジン」だ
図1◎「価格破壊」を仕掛ける「DNM」シリーズ。Doosan社の急成長の「エンジン」だ
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図2◎複合加工機「PUMA MX2100ST」と,そのNC装置に搭載した工具の衝突回避ソフトウエア「COLLISION PROTECTOR SYSTEM」。高度な技術が要求される
図2◎複合加工機「PUMA MX2100ST」と,そのNC装置に搭載した工具の衝突回避ソフトウエア「COLLISION PROTECTOR SYSTEM」。高度な技術が要求される
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 米国シカゴ市で開催される工作機械の見本市「IMTS」では,毎年興味深い「パワーゲーム」が見られる。最も目立ち,最も来場者を多く集める南館「ホールA」における「場所取り合戦」だ。エントランス(入り口)に近いほど,強いメーカーがブースを構える。

 前回の2006年に開催されたIMTS2006でも,今回のIMTS2008(2008年9月8~13日に開催)でも,ナンバーワンの場所を押さえたのは,ヤマザキマザックだ。最前列の5大ブースには,開催国のHaas Automation社以外は,オークマ,牧野フライス製作所,森精機製作所と日本の大手メーカーが陣取っている。ここにブースを構えることは,端的に工作機械業界の中で「勝ち組」であることを誇示する。

 こうした中,年々,ホールの後方から前方にコマを進め,かつブースをより大型化して,日本の大手メーカーの背後にピタッと付けてきたメーカーがある。もう一つの「勝ち組」,韓国Doosan Infracore社だ。Haas社の真後ろの2列目に位置し,ブースの大きさは最前列の5大ブースと同じ。豊富な種類の工作機械を展示し,日本の大手メーカーに匹敵する注目の的となっている。

 来場者の注目を集める理由は,Doosan社の急成長にある。「1995年,我が社の販売台数は年間1000台にすぎなかった」(同社)。それが,その後10年強で販売台数は10倍超になり,「2009年には1万2000台を目指す。その先の2010年には2万台,その先は4万台まで射程に入れている」(同社)。爆発的な伸びと言ってよいだろう。

 その急成長を支えるのが,やはり,安さ。日本メーカーよりも「3~4割安く,太刀打ちできない」(大手日本メーカー)低価格が,特に実利を重んじる米国の顧客に受けている。Doosan社自身が「cheaper(より安い)」と表現する「DNM」シリーズは,同社を支える代表的な製品群だ(図1)。

 品質も着実に上がっている。「少し前まで韓国メーカーの工作機械を全く評価しなかったお客さんから,『ちゃんと削れるようになった』という声が聞こえてくるようになった」と大手日本メーカーは口をそろえる。顧客の中には,多少品質が劣る点は,自身の経験やノウハウでカバーし,その分,低価格を重視する顧客も出てきたという。

 Doosan社は「技術でも,日本メーカーに負けているとは思わない」と胸を張る。その技術の高さを象徴するのが,複合加工機「PUMA MX2100ST」と,そのNC装置に搭載した工具の衝突回避ソフトウエア「COLLISION PROTECTOR SYSTEM」だ(図2)。刃物台を備えた旋盤の上方に,ミリングするための主軸を備えたタイプの複合加工機で,大手日本メーカーが得意とする高級機種の一つである。IMTS2006でオークマが大々的に発表した「アンチクラッシュシステム(注:米国ではCollision Avoidance;コリジョンアボイダンス)」機能を彷彿とさせた。これに対し,Doosan社は「我々もこの機能を2年前に開発していた」と語る。

 Doosan社の工作機械は,NC装置やモータなどをファナック社をはじめ,主軸(NSK製と見られる)やボールねじなど「いろいろな部品を日本メーカーから購入している」(Doosan社)。こうした「組立型」の設計に徹しながらも,コストを下げるために部品の共通化や,部品点数の削減,安い部品への切り替えなど,「新しい設計に挑戦している」(同社)という。ただ,より安い部品を探して購入して使うという手法は,「買い叩ける時はよいが,最近のように原材料の高騰で急に高くなるなど,変動が激しいことから,できる限り避けている」(同社)という。

 同社は中国にも工場を持つが,ほとんどを韓国の工場で造るという。工作機械を組み立てるには作業員に10年のトレーニングが必要であり,「中国メーカーはまだその歴史がない」(同社)ためだという。