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図1 作製プロセス
図1 作製プロセス
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図2 スクリーン版上に作製した10μm幅レジストパターン
図2 スクリーン版上に作製した10μm幅レジストパターン
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図3 ポリイミド基板上に作製した10μm幅の銀ペースト導電性回路
図3 ポリイミド基板上に作製した10μm幅の銀ペースト導電性回路
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 大阪府立大学,中沼アートスクリーン,新中村化学,和歌山工技センターの研究グループは,新しいポジ型フォトレジスト材料を開発することによって,スクリーン印刷法で10μm線幅の配線回路の作製に成功した,と発表した。「5年以内に実用化したい」(大阪府立大学教授の白井正充氏)という。

 携帯電話やデジタルカメラなどの携帯機器では,電子部品の小型化・高密度化が求められており,それに伴い電子回路基板の配線を微細化したいという要求が高まる一方である。配線の作成法には,フォトリソグラフィー法,インクジェット法,スクリーン印刷法があるが,コスト面と環境負荷の面からスクリーン印刷へのニーズが高まっている。しかし,現状のスクリーン印刷法で作製できる配線の線幅は30μmが限界なので,さらなる微細化が求められている。

 従来のスクリーン印刷法で微細化に限界があったのは,ネガ型フォトレジストを使っていることから,パターンが膨潤して変形するためだ。このため,同グループは,ポジ型レジストを使って微細化を可能にした。ただし,ポジ型レジストのパターンは強度面で問題があるため,全面露光を行って,レジストの高分子を架橋,高強度化するプロセスを加えた(図1)。

 新規のポジ型レジストは,半導体の先端プロセスで使われているもの(新中村化学の「AP-HAR-201」)をベースにして改良を加えた。それに,架橋剤,光重合開始剤,光酸発生剤を配合している。ユニークなのは,365nmの光で分解反応,256nmの光で架橋反応,と二つの波長に選択的に別々の反応を起こさせるように調整していることである。

 第一に,フォトマスクを使ってパターン露光する際には,365nm(i線)の光に対して,ポジ型として感光(分解反応)する。その後,アルカリ水溶液で現像してパターンを作製する。第二に,256nmの光で全面露光を行い,架橋反応を起こさせて高強度化し,スクリーン印刷に耐えるパターンをスクリーン版上に形成する(図2)。パターンのアスペクト比(横サイズと縦サイズの比)はほぼ1だという。

 この10μm幅のパターンを形成したスクリーン版を使って,ポリイミド基板上に銀ペーストの印刷を行って焼結したところ,線幅10μmの導電回路を作製できた(図3)。

 詳細は,2008年9月24~26日に大阪市立大学で開催される第57回高分子討論会で発表される(講演番号2R05)。

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