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 ロームは,同社が進めるSiCの研究開発状況について,「7th European Conference on Silicon Carbide and Related Materials(ECSCRM)」で発表した(講演番号:We3-1)。SiCデバイスやSiCモジュールなどに関して,今までの研究開発成果を紹介しつつ,新たなデータも明らかにした。講演の後半には,参加者の話題をさらったちょっとしたサプライズも登場し,会場をにぎわせた。

 SiCデバイスについて,新たに発表したのはオン抵抗の温度依存性や信頼性試験の結果などである。チップ・サイズが4.8mm×2.4mmで,耐圧1200V,出力20AのMOSFETを例に,温度に対するオン抵抗の変化を示した。温度上昇とともにオン抵抗が大きくなり,室温から200℃まで上昇すると,オン抵抗は約50%大きくなる。こうした傾向は,電源回路で並列的にデバイスを使う場合に適するという。温度上昇時にオン抵抗が小さくなると,電流が集中してホットスポットが生じやすくなるからである。

 信頼性については,評価のため,製品水準並みのDMOSに対して定電流ストレス TDDB(time dependent dielectric breakdown)試験も施した。その結果,「Siデバイスと同レベルの信頼性を得た」(登壇者)とする。

 また,今回のECSCRMでロームが発表した耐圧790Vでオン抵抗が1.6mΩcm2のトレンチ型MOSFETについても触れた(Tech-On!関連記事1)。実現手法について詳細を明らかにしないものの,トレンチ壁面の損傷をプロセス改善によって抑制してオン抵抗を小さくしつつ,チャネルの不純物濃度をコントロールすることで耐圧を高めたという。オン抵抗はまだ小さくなる余地があるとする。

 この講演で会場をにぎわせたのが,講演後半に触れた,本田技術研究所とともに共同で開発した高出力パワー・モジュールである(ロームの発表Tech-On!関連記事2)。ハイブリッド車や電動自動車などでの利用を想定しており,従来のSiデバイスではなく,SiCダイオードとMOSFETで構成するのが最大の特徴である。このモジュールの話について知らない技術者が多く,講演終了後は,参加者の間でしばらく話題となっていた。