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低消費電力品を次々と展開

 それはともかくとして,AMD社はAlchemy Semiconductor社に続き,2003年8月に米National Semiconductor Corp.のInformation Appliance部門を買収する。同部門はかつて米Cyrix Corp.が「Cx5x86コア」をベースに製造した「MediaGX」というSoCを,「Geode」という名前で引き続き製造・販売していたが,これをそのまま手に入れた事になる。買収の時点では,「Geode GX1」のほかに次世代製品となる「Geode GX2」の開発も最終段階にあった。さらに「Geode GX+」と呼ばれるコンパニオンチップをワンチップ化した「SC1100/1200/2200/3200」といった製品も揃えていた。これらはそのままAMD社が引き継ぐことになり,AMDブランドで引き続き販売された。またGeode GX2も改めてGeode GXとして販売された。このGeode GXをベースに高性能化を図ったのが「Geode LX」で,こちらは2005年6月に登場した。


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 このGeodeシリーズは,いずれもTDP(Thermal Design Power:熱設計電力)が7W以下。つまり空冷ファンなしで動作させることができた。このためx86系が必要な組み込み向けに広く利用されたが,高性能とは言い難かった。AMD Elanに使われたAm5x86は純粋に486互換であるが,Cx5x86はCyrix M1(2命令同時発行のスーパースカラプロセサ)の縮小版(実行ユニットを半減)という位置づけになる。とはいえ,結局1サイクルあたり1命令実行という点では差がない。つまり同時2命令が発行できるPentium Pro/?/?の敵ではない。

組み込み向け低電力品で健闘

 そこで,このあたりのギャップを埋めるべく,AMD社は2004年9月にMobile Athlon 4をベースとした「Geode NX」を投入する。667MHz/1GHz品のTDPは6Wと低く,空冷ファンなしで十分に動作させることができた。この製品は同時期にシェアを伸ばしていた台湾VIA Technologies, Inc.の「C3」を強く意識したスペックを備えており,性能ではC3を凌駕していた。これらの製品は,米Intel社の「ULV Mobile Celeron-M」や「ULV Pentium M」とも競合することになる。ただし,Geode NXは,これらよりも安価でシステムを構成できたことから,コストと性能,消費電力のバランスの取れた製品と市場で受け止められ,「それなり」に売れた。「それなり」の成果となった理由は,VIA Technologies社ほどのサポートも,Intel社ほどの販売パートナーも提供できなかったからだと見ている。

 ちなみにこのGeode NXは現在もまだ現役の製品であり,販売とサポートも継続されている。だが,SCシリーズは,SC1100以外は販売終了。Geode GX1やAMD Elanも520のみならず,それ以前の300/400シリーズを含めて全部販売を終えている。K6-Eに至っては旧製品のページにすら情報が無い。このように,安定した製品供給も求められる組み込み向け製品であっても,比較的短期間で供給を止めてしまうことから,AMD社の製品を嫌うユーザーも少なくない。加えて言えば,2006年7月にGeodeの開発部隊が置かれていたコロラド州Longmontのオフィスは閉鎖されている。2006年7月というのはAMD社がカナダATI Technologies Inc.の買収を発表した時期である。Alchemy Semiconductor社の売却と併せて,組み込み向けの資源を不良資産と見なして償却に乗り出したとユーザーに考えられたとしても無理のないところだろう。