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前回までは,「Android」が多くの企業や開発者を引き寄せる理由を考察した。今回は,Google社の構想の先に見える将来像を探る。(以下の本文は,『日経エレクトロニクス』,2007年12月17日号,pp.55-58から転載しました。内容は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)

 Androidと競合する既存のOSは,ここまで思い切った手段を用いていなかった。Androidと同様にLinuxをカーネルに用いたソフトウエア・プラットフォームを開発するLiMo Foundationの場合,有償で参加するメンバー企業だけが新しいソース・コードを提案し,メンバー企業だけに開示する形を採っている注6)。またSymbian OSやWindows Mobile,BREWなどはライセンシーだけにソース・コードを開示するか,そもそもソース・コードを開示しない形態である。いずれも,ソース・コードの修正を希望する際には開発企業に依頼する必要があった(図5)。

注6) LiMo Foundationは4種類のライセンス形態を用意する。一つは,他のオープンソース・プロジェクトの決定に従う「Open Source」。GPLやApacheなどのライセンス条件に従う。続いて「FPL」には2種類あり,特許権の行使を認めない代わりに一般コードへの組み入れが認められるCommon Capable条件と,特許権に対する非差別的なライセンス料の行使を認める代わりに一般コードへの組み入れが認められないNon-Common Capable条件がある。最後の一つが,著作権と特許権の行使を認める「Proprietary」である。

図5 従来にない開発形態を選択 Google社は,Androidのソース・コードを一般公開し,すべて無償で提供する形態を採る。これまでの代表的な携帯電話機向けソフトウエア・プラットフォームは,ライセンスを購入した企業だけがソース・コードを閲覧できるか,ソース・コードを開示しない形態ばかりだった(a)。またGoogle社は,AndroidそのものをOHA参加企業と共同で開発する方針を示している(b)。Microsoft社などは,ライセンスを購入した企業がソース・コードの改変を提案し,それを採用する手続きを用意している。
図5 従来にない開発形態を選択 Google社は,Androidのソース・コードを一般公開し,すべて無償で提供する形態を採る。これまでの代表的な携帯電話機向けソフトウエア・プラットフォームは,ライセンスを購入した企業だけがソース・コードを閲覧できるか,ソース・コードを開示しない形態ばかりだった(a)。またGoogle社は,AndroidそのものをOHA参加企業と共同で開発する方針を示している(b)。Microsoft社などは,ライセンスを購入した企業がソース・コードの改変を提案し,それを採用する手続きを用意している。 (画像のクリックで拡大)

 Google社はソフトウエアの開発者を鼓舞する別の手段も用意している。賞金総額1000万米ドル(日本円で約11億円)のアプリケーション・ソフトウエアの開発コンテストである。ソフトウエア開発キット(SDK)の公開とともにこれを発表することで,2008年に対応端末が登場するまでにアプリケーション・ソフトウエアの品ぞろえを豊富にする目算だろう。