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Harikrishna Bhat氏 日経BPが撮影。
Harikrishna Bhat氏 日経BPが撮影。
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 インドのIT/エンジニアリング・サービス企業HCL Technologies, Ltd.の日本法人である,エイチシーエル・ジャパンの新社長のHarikrishna Bhat氏に話を聞いた。同氏はHCLの競合企業の日本法人から,エイチシーエルへ2カ月ほど前に移ってきた。

問 日本でもインドのIT/エンジニアリング・サービス企業はかなり知られるようになった。ただし,成果が顧客の機密事項になるケースが多いせいか,それぞれの会社の特徴はなかなか分からない。HCLは,例えば,以前にいたインドWipro Ltd.と比べて,どんな特徴があるのか。

Bhat氏 以前にいた企業とHCLの直接の比較は勘弁して欲しいが,IT/エンジニアリング・サービス企業としてわれわれ(HCL)はかなりユニークな存在である。例えば,多くのIT/エンジニアリング・サービス企業は「顧客第一主義(customer first)」を掲げている。その中で,われわれは2005年から「従業員優先主義(employee first)」を取ることにした。

 顧客第一主義の企業では,顧客を優先するあまり,従業員の扱いがいい加減になるケースが少なくない。モチベーションの下がった従業員が,顧客に対していい仕事をするとは思えない。それならば,従業員を大切して,その結果として顧客に優れたサービスを提供する方が良いと考えた。導入から3年が経ち,従業員優先主義の成果は上がっている。われわれの従業員優先主義は,米Harvard Business Schoolなどの講義の題材になっているほどである。

問 従業員優先主義の具体的な内容は?

Bhat氏 例えば,会社の都合で従業員を解雇しないことである。米国の景気後退が鮮明になった2008年第3四半期(7月~9月)に,インド全体でIT/エンジニアリング・サービス企業が解雇した従業員数は3万人程度になった。もちろん当社は解雇ゼロである。

 従業員優先主義の結果,離職率が低いこともわれわれの特徴になっている。自ら辞めるケースもあるので,離職率はゼロにはならないが,約12%である。インドでは15~18%が平均的な離職率と言われており,これに比べればかなり低いと言える。

 景気がちょっと悪くなったからと言って,従業員を解雇するのは懸命とは言えない。どの企業も教育という形で従業員に投資している。その成果を自ら放棄することになる解雇には,納得がいかない。

 われわれは,他社が解雇しているこの時期を,優秀な人員を確保するチャンスと捉えている。他社に解雇された人を採用しようとしている。

問 従業員優先主義のメリットは分かるが,それではコストが膨らむのでは?

Bhat氏 解雇はしないが,コスト削減には協力してもらう。例えば,ある場所で仕事がなくなれば,別の場所で働いてもらう。ある人の仕事がチェンナイで無くっても,ノイダ(デリー近郊)であれば,その人には働いてもらえる。

 日常のコスト削減にも協力してもらう。出張はなるべく行かずに,電話会議やテレビ会議にする。飲料の販売機では毎回紙コップを捨てるのではなく,三回は使ってもらうとか,さまざまだ。

LSI設計サービスの特徴の一つ IBMとの強い関係がある。HCLのデータ。
LSI設計サービスの特徴の一つ IBMとの強い関係がある。HCLのデータ。
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