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講演する町田勝彦氏。
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町田氏が提唱するDCエコハウスのイメージ。
町田氏が提唱するDCエコハウスのイメージ。
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 シャープの代表取締役会長兼CEOである町田勝彦氏は,「FPD International 2008」の特別基調講演に立ち,「今こそ,企業を超え,業界を超え,DCエコハウスの実用化に向けて真剣に取り組むべき」との考え方を披露した。

国際競争力を備えた商品を


 講演のタイトルは,「低炭素社会におけるDCエコハウス,液晶・太陽電池・LEDが創り出す近未来の姿」である。講演の前半では,現在同社が注力している液晶パネルと太陽電池,LEDについて言及した。この中で同氏は,「液晶パネルを9mm,8mmに薄くすることに本当に意味があるのか。技術者の自己満足にすぎないのではないか」と指摘し,「技術者は,ユーザーのライフスタイルを大きく変える新しい価値を提供する必要がある」と訴えた。
 その新しい価値の具体例として挙げたのがDCエコハウスである。「次世代の柱となる技術として,液晶と太陽電池,LEDに期待している。この三つの技術はいずれも,壁や屋根,天井といった建物の空間との相性が良い。そこでたどり着いたのが,省エネと創エネを両立させたDCエコハウス(DCエコオフィス)だ。国内企業が持つ環境技術を結集させれば,真のオンリーワン性を備え,国際競争力を持った強い産業へと育っていくはずである」(町田氏)。

三つのDC


 DCエコハウスの「DC」には三つの意味が込められている。第1は直流(direct current)である。住宅で使用する電力をすべて交流(AC)から直流(DC)に置き換えることで,AC-DC変換時の損失を無くそうというものだ。太陽光発電システムで得られる電力はDCであり,家庭内で使用する民生機器のほとんどはDCで動作する。従って,太陽光発電システムが家庭やオフィスに導入されれば,AC駆動の民生機器ではなく,DC駆動の民生機器の方が,電力を無駄なく使えるようになる。

 第2のDCは,「diminish CO2 emission」である。住宅の断熱性や気密性を高めて,エネルギーの損失を減らすことが目的である。この結果,CO2の発生量を抑える。
 
 第3のDCは,「display centric」である。町田氏は,「DC給電技術や真空断熱技術を導入しても決して楽しくない。住宅の購入をもっと楽しいものにしなければならない。そこで登場するのが大画面ディスプレイだ。画面が大きく,精細度が高いディスプレイが家庭にあれば,必ず生活が変わる」と主張する。

「夢はかなう」


 ただし, DCエコハウスを普及させることはそう簡単ではない。交流(AC)を使った配電/給電システムが広く普及しているからだ。ただし,町田氏は「DCエコハウスのコンセプトを聞いて,『夢物語ではないか』と考える方がいらっしゃるかもしれない。確かに,1年や2年では実現できないが,決して夢物語ではない」と断言する。
 その理由として同氏は過去の体験を挙げた。同氏は,1998年に社長に就任した際に「2005年までに国内で販売するテレビをすべて液晶に置き換える」と宣言した。しかしその当時,液晶パネルは,視野角やコントラスト比,応答特性などの技術的な問題に加えて,価格が高いという課題を抱えていた。このため,「社内外から,時期尚早の夢物語と指摘された」(同氏)という。ところが実際には,宣言より1年早い2004年に,すべて液晶テレビに置き換えることに成功したのだ。「夢は必ずかなう」と同氏は言う。

 「まずは,一番良いシステムはどのような形なのかを,コンソーシアムのようなクローズな場ではなくオープンな場で,業界の人たちが集まって議論してほしい。技術はすでにある。後は,企業を超え,業界を超えたすり合わせを行うだけだ」(同氏)。

【動画】町田会長の講演のダイジェストをビデオでご覧いただけます(制作=BPtv)